川口浩(かわぐち・ひろし) 東京脳神経センター整形外科・脊椎外科部長
1985年、東京大学医学部卒。医学博士。米コネチカット大学内分泌科博士研究員、東京大学医学部整形外科教室助手・講師・准教授、JCHO東京新宿メディカルセンター脊椎脊髄センター長などを経て、2018年より現職。日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医。国際関節病学会理事、日本軟骨代謝学会理事。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
漫然とつづく「無症状者の入院・隔離」措置が、国民と医療現場を疲弊している
この状況が続けば、政府の施策による人為的な医療崩壊が起こる可能性がある。政府や専門家会議は、「過剰な指定感染症」を漫然とつづけて国民や医療現場に過大な負担を強要していることに対して、科学的合理性のある説明をすべきである。
ウイルスは一般的に、感染性と毒性は両立しない。エボラ出血熱、SARS、MERS、鳥インフルエンザのように毒性が強いと、患者は重症化・死亡する割合が高くなるので、宿主がウイルスを移動させることが難しくなる。したがって広範な感染には至らず、限定された「風土病」で終わってしまい、パンデミック(世界的大流行)になることもありえない。
新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の場合は、初期の段階から毒性は弱いが感染性は高かったため、保菌者が動き回って世界中に拡散し、パンデミックになったということだろう。また、国内の抗体検査で陽性率が極めて低かったのは、ほとんどの感染者が獲得免疫を必要とせず、自然免疫だけで対抗できた程度の低いレベルの毒性であったためかも知れない。