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「コロナ禍は人災」だとすると誰が犯人か?

科学的根拠の欠如が招いた医療危機、患者差別、経済損失

川口浩 東京脳神経センター整形外科・脊椎外科部長

 この「高齢者の致死率は第1波と第2波では変わっていない」という見解は、政府対策分科会に報告され、全国のメディアを通じて国民に発信された。鈴木氏の提示したこの資料のデータを検証してみる。

 累計の死亡者数と感染者数から、単純に全国の致死率(死亡者数÷感染者数)を計算すると、
   ・第1波(1/16~5/31)900÷16784=5.4%
   ・第2波(6/1~8/19)219÷41472=0.5%
 と、約10分の1に「大幅に低下」しており、「軽度低下」とは言えない。ところが、この資料には「致死率は発症から死亡までの期間を調整して算出したものであり、累積死亡者数を累積感染者数で除した値とは異なることに注意」と脚注でただし書きをしており、計算に用いた数値は各期間の観察終了直前の7日間平均であるとしている。この結果、致死率は「5/25~5/31」の 6.0%に対して、「8/13~8/19」は4.7%ということである。

 しかしながら、この計算の出典・根拠となる数字は示されていない。

第2波の致死率「70歳以上は25.9%」の異常

 そもそも、この第1波と第2波の比較対象自体が適切とは到底思えない。「観察終了直前の7日間」である5月25日から31日の期間は、すでに第1波はピークアウトしており、一方で8月13日から19日までは第2波のピークの最中である。

 また、この第2波の致死率4.7%という数字はにわかには信じがたい。上記の脚注に従って「死亡までの期間を調整」し、発症から死亡までの期間を十分に長くとって1カ月としても、
   ・6/1〜7/19の感染者数8276人
   ・6/1〜8/19の死亡者数219人
 であるから、致死率は219÷8276=2.6%と計算される。4.7%などという高値にはなり得ない。

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筆者

川口浩

川口浩(かわぐち・ひろし) 東京脳神経センター整形外科・脊椎外科部長

1985年、東京大学医学部卒。医学博士。米コネチカット大学内分泌科博士研究員、東京大学医学部整形外科教室助手・講師・准教授、JCHO東京新宿メディカルセンター脊椎脊髄センター長などを経て、2018年より現職。日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医。国際関節病学会理事、日本軟骨代謝学会理事。

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