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科学はアベノカガクのままでよいか

科学はイノベーションのためだけにあるのではない

尾関章 科学ジャーナリスト

 この足どりを踏まえて、総合科学技術会議の看板塗りかえを読み解くと、安倍首相の科学観が浮かびあがってくる。そこに見えるのは、科学の値打ちはイノベーションにつながってこそ高まる、という考え方だ。そのことは、一連の演説や挨拶で科学技術を語るとき、「成長に貢献するイノベーション」「富と雇用」「成長戦略」「産業化等の出口」といったキーワードをちりばめていることからも明らかだ。アベノカガクは、ただ科学技術の経済効果を重視しているだけではない。それが日本経済の再生を促し、自国の経済成長に寄与してくれることを求めていると見てよさそうだ。

「出口」の見えない大発見も

 私は、ここで科学をイノベーションに結びつける科学政策を否定しようとは思わない。「イノベーション25」にもあるように、私たちの前には少子高齢化やグローバル化、気候変動、新型感染症などの難題が山積しており、そこで解決の決め手となるのは科学だからだ。だが、科学は最初から「出口」が見えているわけではない。

 一例を挙げよう。

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筆者

尾関章

尾関章(おぜき・あきら) 科学ジャーナリスト

1977年、朝日新聞社に入り、ヨーロッパ総局員、科学医療部長、論説副主幹などを務めた。2013年に退職、16年3月まで2年間、北海道大学客員教授。関心領域は基礎科学とその周辺。著書に『科学をいまどう語るか――啓蒙から批評へ』(岩波現代全書)、『量子論の宿題は解けるか』(講談社ブルーバックス)、共著に『量子の新時代』(朝日新書)。週1回の読書ブログ「めぐりあう書物たち」を開設中。

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