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菅新内閣で強まる沖縄への「北風」

いま求められる「逆格差論」の復興

桜井国俊 沖縄大学名誉教授、沖縄環境ネットワーク世話人

 9月16日、菅新内閣が発足した。閣僚名簿が発表され、河野太郎氏が沖縄担当大臣に任命された。「防衛相経験者で基地問題に明るく、コストカッターで予算措置でも沖縄を特別扱いしないだろう」というのが政府関係者の評だ。穿った見方をすれば、まつろわぬ民が暮らす沖縄へのより厳しい対応を河野氏に期待しているとも言える。

拡大沖縄県を訪れ、玉城デニー知事(右)から要望書を受け取る河野太郎・沖縄北方相=2020年9月19日、県庁、岡田将平撮影
 翌9月17日、河野沖縄担当大臣は、記者会見で「基地問題を無視して沖縄振興を語るわけにはいかない」として、米軍基地をリソース(資源)と捉え振興を進める「ひっくるめ論」を主張した。彼は「沖縄の中学、高校生の英語能力が日本でトップクラスのようになったっておかしくない」と述べ、基地の存在を県内学生の英語力強化につなげるべきだと主張した。しかし、これまでだけでなく、これからも米軍基地の長期にわたる過度な沖縄集中を前提とするような話は、県民の心を逆なでこそすれ、同意が得られることはあるまい。かくして沖縄では早速、河野流「北風」への警戒感が強まった。

沖縄振興予算への意図的な誤解

 菅内閣の基本方針は、自助・共助・公助だそうだ。公助を担い、強化することこそ政府の責務であるのに、まず自助を声高に求める恐ろしい政府の登場だ。菅内閣の登場で、本土政府のアメとムチがより前面に出てくるだろうというのが沖縄の見方だ。

 沖縄振興予算について、前記の記者会見で河野沖縄担当相は「毎年3千億のお金を投入しながら県民所得の(他県との)格差がいまだに残っている。これまでの延長線でいいのか」と述べている。この発言も、沖縄県民は素直に受け入れるわけにはいくまい。まるで沖縄だけが「振興予算」という他県にはない特別な資金助成を国から受けているとの誤解を本土国民に与えかねない発言だからだ。

拡大沖縄県宜野湾市の中心部にある在日米軍の普天間飛行場

 現に沖縄バッシングを展開する人たちは、意図的にこの誤解を国民向けに広めている。他県では各省庁を通じて国からの予算を受け取っているものを、歴史的経緯から沖縄だけが「沖縄振興予算」ということで内閣府一括計上で受け取っていることを見て見ないふりをしているのである。国からの財政移転額を県民一人当たりでみれば、沖縄は全国5位に過ぎず(2014年度決算ベース。地方交付税+国庫支出金。災害支援を受けている岩手、宮城、福島を除く。)、バランスを欠いて優遇されているわけではない。

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筆者

桜井国俊

桜井国俊(さくらい・くにとし) 沖縄大学名誉教授、沖縄環境ネットワーク世話人

1943年生まれ。東京大学卒。工学博士。WHO、JICAなどでながらく途上国の環境問題に取り組む。20年以上にわたって、青年海外協力隊の環境隊員の育成にかかわる。2000年から沖縄暮らし。沖縄大学元学長。

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