メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

気候危機を救う「3.5%」は誰なのか? 下

「僕は嫌だ」と言えない「僕が嫌だ」

宮﨑紗矢香 株式会社大川印刷勤務、Fridays For Future Tokyo元オーガナイザー

気候危機を救う「3.5%」は誰なのか? 上』から続く。

わたしたちは革命を起こさなければならない

 あれから1年。

 「拘束されているときに『不協和音』の歌詞がずっと頭の中で浮かんでいました」という、香港の民主活動家、周庭(アグネス・チョウ)さんの一言を耳にした時、私の記憶は一瞬のうちに1年前の夏に飛んだ。

保釈された民主活動家の周庭氏=2020年8月11日深夜、香港、益満雄一郎撮影拡大保釈された民主活動家の周庭氏=2020年8月11日深夜、香港、益満雄一郎撮影

 「嫌だって言いたいです」。自らも、そう口にした瞬間をありありと思い起こした。

 抑圧への抵抗。搾取からの脱却。置かれた状況は異なれど、私たちは例外なく、本来享受し得るはずの自由や正義というものを侵されている。ただ、その不条理に、これ以上屈してたまるものかと、威勢よく立ち上がるか否かは、私たち一人ひとりに委ねられている。

 自分はあのとき、自分自身でもまだよくわからない、でも何かとても強い感情に突き動かされていた。何を英雄気取って、狂ってるんじゃないか、頭おかしいんじゃないのかと馬鹿にされても、私にとってはそれが真実だった。

 「わたしたちは革命について歌ったのだから、革命を歌ったのだから、革命をしなければならない」(松田青子著『持続可能な魂の利用』、中央公論新社)

 世の「おじさん」から自由になるためにあらがう、女性たちの物語のある一節だ。先日、たった一日で読み切るほど魅せられた本には、痛快なフレーズの数々が並んでいた。

 物語には、これまでのアイドル体系と異なり、反抗的な歌詞に難易度の高いダンスを披露する、異端のアイドルグループが登場する。物語の主人公は、アイドルグループのセンター、××という圧倒的存在にどっぷりとはまっていく。そして物語の終盤、あろうことか、××と××のファンである主人公は、楽曲の意図をくみ、その歌の世界を現実に生き始め、ついには「反逆」を歌詞通り実行してしまうという、驚きの結末が待っている。

 文中、形容の仕方を読めば、そのアイドルグループが実在の、欅坂46をモデルにしているということは、すぐさま思い当たる。あくまでフィクションの世界として描かれつつも、その核に貫かれているのは、すがすがしく生々しいノンフィクションだった。

 ページをめくるたび、私は胸が高ぶった。キャラクターたちが文字通り、自らの生に体当たりで当たって砕けていたから。その潔さに身体が沸き立つのを感じた。変えると言ったら変える。倒すと歌ったのなら、倒す。その一点張り。他の選択肢も手段もありえない。

 他の国のアイドルグループの歌詞を拘束された状況に重ね合わせ、「最後の最後まで抵抗し続ける」道を生き抜く女の子がいるなら、私は、スウェーデンの女の子の言葉を額面通りに受け取り、「僕は嫌だ」と社会に反旗を翻す女の子だった。

 良く言えば「感受性が豊か」、悪く言えば「クレージー」なのかもしれない。ただ、「革命」をしなければいけないとき、その鐘を鳴らす、「異端者」となり得ることはできるかもしれない。

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

宮﨑紗矢香

宮﨑紗矢香(みやざき・さやか) 株式会社大川印刷勤務、Fridays For Future Tokyo元オーガナイザー

1997年生まれ。立教大学社会学部を今年3月卒業。大学1年次に「子ども食堂」に出会い、持続可能な開発目標(SDGs)を知り、大学3年の春休みにSDGs国際ランキング1位のスウェーデン視察ツアーに参加。その後、就職活動で日本のSDGsウォッシュにさいなまれていたとき、グレタ・トゥーンベリさんを知り、Fridays For Future Tokyoの一員になる。共著書に、『グレタさんの訴えと水害列島日本』(学習の友社、2020年)。現在は、株式会社大川印刷に勤務。