大手電力には棚ぼた利益、ツケは国民の電力料金に転嫁
2020年10月12日
9月14日、政府は、容量市場の入札結果を発表した。約定価格(市場で売買が成立した価格)は約1万4137円/kwとなり、政府が定めた上限価格とほぼ同額になった。
この価格と市場の大きさから導かれる金額(1兆5987億円)を国民が負担することになる。約定価格は新設ガス火力発電の固定費を5割上回る水準であり、原発や石炭火力を含む既存設備を含めた全電源に適用される。
容量市場という言葉を、知っている国民の割合はほぼゼロだろう。容量市場は、いまだに電力市場を寡占している大手電力会社が、国民が知らないまま、「将来に起きるかもしれない電力不足」という十分には検証されていない「脅し」のもと、自社が持つ既設の原発や石炭火力を維持するための資金を国民のポケットから新たに取り立てて、同時に競争相手である再エネ発電や新電力会社をつぶすための「最終秘密兵器」として政府に導入を要求したものである。
それによる国民経済やエネルギー・温暖化政策への負のインパクトは計り知れない。
その問題点を具体的に述べる。
①1基で毎年60億円の棚ぼた利益
容量市場によって、すでに投資回収している原発や石炭・石油火力発電などに、発電能力を維持するためだけに、経過措置などを考慮しても1基(100万kW想定)あたり毎年約60億円が実質的な補助金として供与される。
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