山井教雄(やまのい・のりお) 漫画家
1947年東京生まれ。東京外語大スペイン語科卒業。91年漫画集「ブーイング」で文春漫画賞を受賞。93~96年に朝日新聞夕刊で「サミット学園」を連載。報道や表現の自由のために闘う漫画家の国際ネットワーク「Cartooning for Peace(平和のための風刺漫画)」のメンバーとしても活動している。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
ギリシャ・レスボス島で会ったシリア人難民と住民たち
2020年9月9日、ギリシャ、レスボス島のモレア難民キャンプが全焼したというニュースをスペインTVで見ました。久しぶりに見るレズボス島難民に関するニュースです。
15~16年には、トルコからギリシャのレスボス島に渡りヨーロッパを目指す、バルカンルートのシリア難民のニュースは、集中豪雨的に日本のマスコミに流されていました。
しかし、16年にトルコが「経済援助を見返りに、ヨーロッパに渡った難民をトルコに送り返せば、トルコが留め置く」という同意をEUとトルコが結んで以来、ギリシャに渡るシリア難民は激減し、日本ではレスボス島難民はニュースで報道されなくなりました。
私ももっぱらトランプ米大統領、北朝鮮、新型コロナウイルスのニュースを題材に漫画を描き続け、レスボス島の難民のことは、頭の片隅に追いやられていました。実は、私はレズボス島のこの全焼した難民キャンプを訪れたことがあるのです。
16年6月、北キプロスで開かれた漫画コンクールに審査員として呼ばれました。これを、私は難民取材の絶好のチャンスと捉え、審査が終わるや否や、ジェットボートでキプロスからトルコに渡り、シリア国境付近からギリシャまで難民を追いかける旅をしたのです。
数日かけてバスを乗り継ぎ、やっとフェリーでレスボス島に着いたのは6月11日土曜日でした。ユーロに両替する必要があったのですが、銀行は閉まっています。島の人に聞くと、両替もしてくれる旅行代理店があるというので行くことにしました。