パンデミック後の世界経済に向けて
2020年11月02日
今回のパンデミックはプラネタリー・ヘルスへの打撃の問題だと論じられている。国際関係にも詳しい感染症対策の第一人者である國井修博士は、これは「プラネタリー・ヘルス」に対する人間社会の攻撃が引き起こしたものと言う。(『人類vs感染症 新型コロナウイルス 世界はどう闘っているのか』CCCメディアハウス、2020年)(『緊急公開:人類と感染症、闘いと共存の歴史(全文)』Newsweek誌日本版 2020年3月17日号)
要するに人と自然の共生や共存が不調になっているのだという。つまりこれは地球環境の持続性を超えた人間活動が問題だという議論だ。
ヒトと自然との共生・共存の問題であれば、他にも事例はたくさんある。大気汚染、熱帯雨林の破壊、砂漠化、水質汚染、海洋汚染、水産資源の減少、温暖化、産業廃棄物・家庭廃棄物などの処理能力不足、プラスチック廃棄処理問題、人口爆発などがプラネタリー・ヘルスに打撃を与えている。すべて持続性の問題だ。それに、今回の事態は、例えば温暖化が制御不能になった時の全球的な衝撃の巨大さや深刻さを想像させる。
しかも、米国の科学者は今回のパンデミックよりももっと深刻な「ビッグ・ワン」が来ると警告している。(「次のパンデミックに備えるにはーーCOVID19の教訓とは何か」〝Chronicle of a Pandemic Foretold Learning From the COVID19 Failre-Before the Next Outbreak Arrives〟ミネソタ大学感染症研究センター《CIDRAP》マイケル・オスターホーム所長、フォーリンアフェアーズ・リポート誌2020年8月号)
今回のことで、ゴルバチョフ氏やグテーレス国連事務総長が「人類は戦争を止めるべきだ」と論じている。それくらい巨大な衝撃を人類史に与えたのだ。しかし、専門家はこれはまだ「序の口」だという。企業と市民が今まで通り経済活動をやっていいはずはない。
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