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バイデン大統領でエネルギー・温暖化対策はこうなる!

重視するのは「経済、コロナ、人種差別、気候変動の四つだ」

明日香壽川 東北大学東北アジア研究センター/環境科学研究科教授

温暖化問題の優先順位

 これまで米国での温暖化問題の優先順位は高くなかった。しかし、バイデン大統領は、2020年8月の民主党大統領候補の指名受諾スピーチで、「米国が直面する問題は、経済、コロナ、人種差別、気候変動の四つだ」と明言しており、当選確実となった11月8日に政権移行に向けて設けたウェブサイトでも、この四つを最優先課題としている。

民主党の候補者集会で演説するバイデン氏 =2019年11月、アイオワ州デモイン、ランハム裕子撮影  
拡大民主党の候補者集会で演説するバイデン氏 =2019年11月、アイオワ州デモイン、ランハム裕子撮影

 10月のトランプ前大統領とのディベードでも、1回目は、共和党寄りの報道で知られるフォックス・ニュースのアナウンサーでもある司会者が、若者の抗議を受けて当初は入っていなかった温暖化問題を急きょ論点に入れた。2回目のディベートでは、事前に決められた六つの争点のうちの一つに温暖化問題が入っていた。

 すなわち、米国での温暖化問題の政治的な優先順位は非常に高くなっており、その背景の一つには、アメリカ全土において森林火災、熱波、ハリケーンなどによる被害が顕著になっていることがある。少なくとも、エネルギーや温暖化問題が国政選挙では争点にならない日本の状況とは大きな違いがある。

どうやって実現するのか

 この問いに対しては、「必要な政策や投資がなされれば、今の技術レベルである程度は可能であり、うまくやれば国全体での経済や雇用にはプラスになる」というのが、多くの業界関係者や研究者の最大公約数的な答えだろう。

 前述のように、バイデンの温暖化政策は、これまで米国で多くのバージョンが出された「グリーン・ニューディール」を踏襲したものであり、巧妙に補助金(アメ)と規制(ムチ)が組み合わされている。また、財源に関しても、化石燃料補助金廃止、大企業・富裕層への課税、炭素税などが想定されている。

 もちろん、これらの規制導入や法改正は容易ではなく、バイデン大統領は、急進左派と批判されがちなサンダース上院議員のグリーン・ニューディール案とは、一定の距離を置いていた。

 しかし、

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筆者

明日香壽川

明日香壽川(あすか・じゅせん) 東北大学東北アジア研究センター/環境科学研究科教授

1959年生まれ。東京大学工学系大学院(学術博士)、INSEAD(経営学修士)。電力中央研究所経済社会研究所研究員、京都大学経済研究所客員助教授などを経て現職。専門は環境エネルギー政策。著書に『脱「原発・温暖化」の経済学』(中央経済社、2018年)『クライメート・ジャスティス:温暖化と国際交渉の政治・経済・哲学』(日本評論社、2015年)、『地球温暖化:ほぼすべての質問に答えます!』(岩波書店、2009年)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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