孤独が募る過酷な環境、ただしオンラインならではのメリットも
2020年11月18日
筆者は、論座「米国では大学教員が大量解雇、新型コロナが加速する大学再編」(8月13日掲載)で、コロナの感染拡大により学生数の減少が予想される中で、大学の対応が問われる旨を問題提起した。今回は、コロナ下でのアメリカの大学で留学生はどのような状況に置かれているのか、現状と問題点を概観してゆく。
アメリカでは、9月からの新学期について8月初めの時点で1275校の大学や短大の約半数(48%)が対面授業、35%が対面・遠隔授業のハイブリッド、14%が全面オンラインと答えていた。しかし10月1日の時点では調査対象となった3000の高等教育機関で完全対面は4%にすぎず、78%がハイブリッド、10%が完全オンラインとなった。
例えばコロンビア大学は、8月中旬までは新入生を含めた学生たちに対して、新学期はハイブリッド授業になると伝え、寮の割り振りも進めていたが、最終的にすべてオンラインの授業になった。
アメリカではコロナの感染拡大が深刻で、11月1日には1日の感染者数が10万人近くなった。終息の兆しが見えない状況で、ますます対面授業の可能性は遠のいている。
すでに米国政府は「3月9日より後に新たにアメリカの高校や大学に留学予定の外国人学生に対して、9月からの授業がすべてオンラインで行われる場合、ビザ発給を認めない」と7月24日に発表している。全授業がオンラインの場合、3月9日までに入学していた学生(すなわち2年生以上)なら米国に滞在できるが、新入生は渡米できないというのである。新入生に許されたのは、日本からオンラインの授業を受ける、という道だけである。
ここで、ニューヨークにあるコロンビア大学に4年生として在籍する日本人留学生の体験を紹介しよう。この学生はコロナで寮が閉鎖されたため、3月19日に帰国し、学期終了までオンラインで学習した。夏休みにはボストンを拠点とするNPOでのインターンシップにオンラインで参加した。8月下旬に新学期のすべての授業がオンラインになると発表されたが、卒業論文を書くために図書館や関連施設での調査が必要だったために、寮もなかなか決まらない状況だったが渡米を決意した。
8月31日に羽田を出発してニューヨークに到着し、空港からタクシーでコロンビア大学構内のヘルスセンターに直行してPCR検査を受けた。そして大学敷地に隣接する寮に入り、32時間後に結果が出るのを待った。検査結果は陰性だったが、陰性でも14日間の外出自粛を求められているので、その間は必要最低限の食料品の買い出しや運動以外は寮の自室で過ごした。コロンビア大学では、現在に至るまですべての学生に毎週のPCR検査を義務付けている。検査はすべて無料だ。
また、構内に入るすべての人にマスクの着用が義務付けられ、PCR検査を受けた大学関係者にはオリジナルのマスクが無料配布されている。当然のことながら、身体的な距離をとることも義務付けられている。図書館は21館のうち6館のみが開いていて、
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