ワクチンが開発されても、向こう10年繰り返されるだろう問題なのに
2020年11月19日
新型コロナが流行していた4月に秋入学議論が急浮上したが、その理由の一つに入試の時期の問題があった。もともと「一発勝負」の大学共通テスト(センター試験の後継)がインフルエンザや風邪の流行時期に重なっており、それにコロナが加われば大変だと思われたからだ。100年前のスペイン風邪との比較から、当初から「次冬が正念場」と言われており、入試の時期を再考する理由として十分だった。
秋入学の議論自体は拙速な判断を避けるという無難な結論に落ち着いたが、同時に入試時期の問題が話題から完全に消えてしまった。共通テストの時期にコロナ流行が深刻化すると予想されているにもかかわらず、である。そして、その「正念場」にまさに突入しつつある。欧州は10月以降の第2波で(図)、多くの国がロックダウン等を余儀なくされ、日本ですら急拡大が始まって危機感が高まっている。
ワクチン開発へ期待する向きもあるが、その効果や安全性を考えれば根拠の無い期待である(論座『新型コロナのワクチンは超スピード開発でウイルスよりむしろ危険?』岡田幹治)。開発中のワクチンの供給開始は早くとも1月だから、若年層はもちろんのこと、医療関係者にすら1月末までに行き渡らない可能性が高いし、若年層に限れば来秋すら無理ではないかとすら予想される。もちろん、本当に有効なのかはまだ実証されていない。
共通テストの時期は厳寒ゆえに換気が良いとは限らず、ヒヤリング試験のときは騒音対策で窓を閉めなければならない。「クラスターになりやすい」ので避けることが推奨されている環境だ。にもかかわらず文科省や厚労省などの関係部局は、共通テストにおけるコロナ対策の方針を打ち出していない。単純にマスクをして机と机の間を出来るだけ離して試験を実行するつもりらしい。
共通テストは
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