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「情報」の科目を大学共通テストの正式な科目に

高校での必修化から約20年、「ちゃんと教え、ちゃんと学ぶ」ために入試に出そう

松原仁 東京大学大学院教授

来年1月から共通テストが始まる

拡大大学共通テストの試行調査に挑む高校生=2018年11月10日、京都市左京区の京都大、徳永猛城撮影
 2021年1月から従来の大学入試センターのセンター試験に代わって共通テストが行われる。コロナ禍で予定通り実施できるか心配ではあるが、今度の入試から制度がかなり変わることになる(英語の民間試験を導入することになっていて、すったもんだがあって見送りになった=2024年度からの導入を目指すことになった=のは記憶に新しいところである)。

 2024年度(2025年1月)の共通テストから「情報」の科目を含めるかどうかの議論がいま行われている。大学入試センターから「情報」の試作問題も公表されている。ここではこの件を考えてみたい。高校を卒業して就職する人たちのための「情報」教育をどうするかももちろん重要であるが、それは稿を改めて論じることとして、本稿では大学受験をする人たちのための「情報」教育に絞ることにする。

2003年度から高校での「情報」が必修になった

 1940年代に発明されたコンピューターは、約80年が経過して世の中のありとあらゆるところに使われるようになり、われわれの生活と切っても切れない存在になっている。そのコンピューターを正しく扱うための基礎となる学問が「情報」である。

 「情報」は決して理科系だけのものではなく、文科系を含めたすべての人間がこの情報社会を生き延びていくために学ぶ必要のある学問である。情報の教育が疎かだと世界的な情報社会の流れから日本が取り残されてしまう。そういう認識はかなり以前から日本政府も持っていて、2003年度から高校で「情報」の科目が必履修になった。

拡大高校の「情報」の授業=2019年1月17日、岩手県花巻市、大西英正撮影

 情報活用の実践力を学ぶ「情報A」、情報の科学的な理解を学ぶ「情報B」、情報社会に参画する態度を学ぶ「情報C」の3つがあったが、「情報A」を開講した高校が80%、「情報B」を開講した高校が5%、「情報C」を開講した高校が15%であった。本来は「情報B」を学んでほしいのだが、多くの高校はワードやエクセルの使い方などを教えてお茶を濁していた。ワードやエクセルを使えるようになるのはいいことではあるが、それは学問としての「情報」ではない。

 途中から「情報A」がなくなって「情報B」が「情報の科学」、「情報C」が「社会と情報」になったが、「情報の科学」を教える高校は20%で「社会と情報」が80%である。多くの高校が学問としての「情報」を教えていないのだが、それは教える体制の方に大きな問題があるためである。

 「情報」を教える教員は

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筆者

松原仁

松原仁(まつばら・ひとし) 東京大学大学院教授

1981年東大理学部情報科学科卒業、1986年同大学院博士課程修了。工学博士。同年通産省工技院電子技術総合研究所(現産業技術総合研究所)入所。2000年公立はこだて未来大学教授、2016年同大学副理事長、2020年東京大学大学院教授。人工知能、ゲーム情報学、観光情報学などに興味を持つ。 著書に「コンピュータ将棋の進歩」、「鉄腕アトムは実現できるか」、「観光情報学入門」、「AIに心は宿るのか」など。株式会社未来シェア取締役会長。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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