高校での必修化から約20年、「ちゃんと教え、ちゃんと学ぶ」ために入試に出そう
2020年12月28日
2024年度(2025年1月)の共通テストから「情報」の科目を含めるかどうかの議論がいま行われている。大学入試センターから「情報」の試作問題も公表されている。ここではこの件を考えてみたい。高校を卒業して就職する人たちのための「情報」教育をどうするかももちろん重要であるが、それは稿を改めて論じることとして、本稿では大学受験をする人たちのための「情報」教育に絞ることにする。
1940年代に発明されたコンピューターは、約80年が経過して世の中のありとあらゆるところに使われるようになり、われわれの生活と切っても切れない存在になっている。そのコンピューターを正しく扱うための基礎となる学問が「情報」である。
「情報」は決して理科系だけのものではなく、文科系を含めたすべての人間がこの情報社会を生き延びていくために学ぶ必要のある学問である。情報の教育が疎かだと世界的な情報社会の流れから日本が取り残されてしまう。そういう認識はかなり以前から日本政府も持っていて、2003年度から高校で「情報」の科目が必履修になった。
情報活用の実践力を学ぶ「情報A」、情報の科学的な理解を学ぶ「情報B」、情報社会に参画する態度を学ぶ「情報C」の3つがあったが、「情報A」を開講した高校が80%、「情報B」を開講した高校が5%、「情報C」を開講した高校が15%であった。本来は「情報B」を学んでほしいのだが、多くの高校はワードやエクセルの使い方などを教えてお茶を濁していた。ワードやエクセルを使えるようになるのはいいことではあるが、それは学問としての「情報」ではない。
途中から「情報A」がなくなって「情報B」が「情報の科学」、「情報C」が「社会と情報」になったが、「情報の科学」を教える高校は20%で「社会と情報」が80%である。多くの高校が学問としての「情報」を教えていないのだが、それは教える体制の方に大きな問題があるためである。
「情報」を教える教員は
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