莫大な広告費をつぎ込む企業を気遣う体質が変わらなければ、歴史は繰り返す
2021年01月14日
昨年10月16日、シャーリー・エブド誌に掲載されていたムハンマドの漫画を、『表現の自由』の教材として生徒に見せたパリの中学校教師サミュエル・パティさんが、イスラム過激派の男に首をかき切られて殺されました。その後彼は国葬に付され、『表現の自由』を守った英雄として、マクロン大統領からレジオンドヌール勲章を贈られました。
この事件から..
...がわかりました。私がフランスで漫画展を開くと、近隣の小学生が先生に引率されてやってきます。先生は子供たちに一生懸命、政治漫画の読み方を教え、描かれている事件を解説します。そばに立っていると、先生に『ムッシューNo-rio、この子たちにこの漫画の見方を教えてやってください』と頼まれます。週末は親が子供を連れてきます。『高校生が休み時間に政治の話をするのは適切ではない』と文科大臣が言う国とは何という違いでしょう。
私の漫画は、ノーキャプション漫画...言葉で説明されていないので、日本では難しい漫画と捉えられています。しかしフランスでは、学校と家庭でのこういった教育のおかげで、中学生にもなると、難なく理解できるようになります。
私がクーリエ・アンテルナショナル誌に発表した上の漫画が、フランスの大手出版社ドゥノエル社の高校地理の教科書に採用されたという手紙が、そのページのコピーと一緒に送られてきました。
質問
1)右の建物は何ですか?
2)どこの国にありますか?
3)左の建物は何ですか?
4)真ん中の人物は何ですか?
5)作者は何を言おうとしているのでしょう?
このようなページでした。
先生が全てを説明してしまうのではなく、生徒が自分の知識でこの漫画のメッセージを導き出せるように、うまくリードして漫画を見る手順を教えています。
フランスは、電力の80%を原子力発電で賄い、原発の輸出もしている世界1の原発大国であるにもかかわらず、その危険性を既に高校生から教えてしまうのだと、驚くとともに感心しました。一方、日本では、私の反原発漫画はボツにされ続けていました。
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