自分のがんの予防だけでなく、女性を守ることにもなる
2021年01月18日
子宮頸がんの原因となるウイルスは主に性交渉でうつる。男性が接種すれば、自身のがんだけでなく、女性のウイルス感染リスクを下げることができる。ワクチン接種の負担を女性だけに負わせるのではなく、男性もともに接種する時代がやって来たようだ。
これまであまり注目されてこなかったが、HPVは中咽頭がん、肛門がん、陰茎がんの原因にもなる。今回、厚労省が男性へのワクチン接種と肛門がんへの適用拡大を認めたのは、男性を対象とする国内の臨床試験でワクチン接種によって肛門内の持続的なウイルス感染が防止できると分かったためだ。
ただ、今回の承認は、無料で受けられる定期接種ではなく、自己負担の任意接種だ。費用は3回接種で約5万円かかる。しかし、任意の接種とはいえ、国の承認を受けているため、接種が原因で副作用が生じた場合は公的な補償が受けられるようになる。
世界を見渡せば、すでに豪州、英国、米国など約20カ国で公費助成による接種が進んでいる。特に豪州では中高校生の男女が集団でHPVワクチンを接種している。日本もようやく男性が接種する時代を迎えたことになる。
男性が接種する意義は何か。
改めて覚えておきたいのは、子宮頸がんなどを引き起こすウイルスは性的な行為で感染することだ。男女が性交渉を一度でも持てば、だれにでも感染するリスクがある。もちろん大半は免疫力が働き、ウイルスは排除され、がんにはならないが、それでも年間1万人程度の女性が子宮頸がんになっている。
しかし、
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