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コロナ禍で社会生活を下支えする21世紀の技術革新

情報通信技術だけではない、飛躍的な技術発展による恩恵を実感した

伊藤智義 千葉大学大学院工学研究院教授

 コロナ禍の中で、感染防止と経済活動の両立についての議論が続いている。アメリカでは国を二分する大統領選挙が展開された。感染防止と対比するものを単に経済活動というと問題が矮小化されてしまう。実情はもっと大きな(経済活動も含めた)人間の社会的な活動であろう。

拡大GoToトラベル初日の高山市の観光名所「古い町並」=2020年7月22日、岐阜県高山市上三之町、山下周平撮影
 「人は一人では生きていけない」という言葉がある。人間は社会的な生き物である。昨年、中国に続いて、ヨーロッパ各国でもロックダウン(都市封鎖)が続いた。必要最低限以外の外出は制限され、違反すれば罰則となる。落ち着いて考えてみれば軟禁状態と同じである。精神的にも身体的にもきついものがある。そのことを象徴していたのが、ロックダウンが解除された後のヨーロッパ各都市の映像であった。街に人々があふれ、大丈夫かなと心配になるほど自由を謳歌していた。日本では、最初の緊急事態宣言が解除された後のGoToトラベルである。全国の観光地が人であふれた。

 その影響もあってか、第二波、第三波が発生し、再び私たちは不自由な生活を強いられている。

コロナ禍で人間の社会性を支えた情報通信技術

拡大オンライン会議はすっかり日常風景に= shutterstock.com
 経験したことがない一年を通して、私たち(人間)の社会性をかろうじて支えているのが21世紀に急速に発展した情報通信技術、インターネットである。テレワークが推奨され、私自身もこの一年で本格的なオンライン授業、オンライン会議、オンライン講演を経験した。情報通信技術の活用方法の是非については本稿では議論しないが、ポストコロナ(コロナ後の社会)またはウィズコロナ(コロナと共存できる社会)に向けて、これからの分析や対応が注目されるところである。

 情報通信技術の恩恵はわかりやすいが、もう一つ、医療技術にも注目したい。たまたまではあるが、緊急事態宣言の最中、私自身が入院治療を受けることとなった。そこで最新の医療技術に接し、その重要性を実感した。

拡大内視鏡手術の様子=shutterstock.com

 ここでいう医療技術は直接的に新型コロナウィルスを対象とするワクチン開発等を意味しているわけではない。21世紀に入って本格的に導入されたカテーテルによる血管内治療(手術)や内視鏡下による治療(手術)など、患者への負担を軽減した手法の長足の進歩である。従来の切開を伴う手術では長期の入院が必要であったものが、新手法なら小さい傷で済むので数日程度で回復する。医療現場のひっ迫が叫ばれる中、

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筆者

伊藤智義

伊藤智義(いとう・ともよし) 千葉大学大学院工学研究院教授

1962年生。東京大学教養学部基礎科学科第一卒、同大学院博士課程中退。大学院生時代に天文学専用スーパーコンピューター「GRAPE」の開発にかかわり、完成の原動力となる。現在は「究極の3次元テレビ」をめざし研究中。著書に、集英社ヤングジャンプ「栄光なき天才たち」(原作)、秋田書店少年チャンピオン「永遠の一手」(原作)、集英社新書「スーパーコンピューターを20万円で創る」など

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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