沖縄のメディアが懸念する新政権の基地政策
2021年02月08日
1月20日、ジョー・バイデン氏が米国第46代大統領に就任した。大方の反応は、ホッとしたというのが最大公約数ではなかっただろうか。トランプ前大統領にあおられて1月6日に彼の支持者たちが前代未聞の米連邦議会襲撃を行った後となってはなおさらであった。
副大統領に、女性、黒人、アジア系で初のハリス氏を指名するなど、多様性を重視した政治姿勢も多くの人に希望を抱かせている。これまでの米大統領の就任時と同様、日本の世論ではおおむね期待が先行している。
だが、沖縄の反応は異なる。県内メディアからは、期待だけではなく、懸念が表明されている。最大の不安材料は、名護市辺野古の新基地建設問題を始めとするバイデン新政権の安全保障政策である。1月20日付の沖縄タイムスと1月21日付の琉球新報の社説にそれが顕著に見られる。
沖縄タイムスの社説は、「県民の関心事は、バイデン政権の沖縄基地政策だ。日本政府は、普天間飛行場の返還は「辺野古が唯一の解決策」の考えを変えておらず、新基地建設計画が継続される見通しだ」とする。
そして「アジア政策統括を目的に新設する高官ポストに、キャンベル元国務次官補の起用も決まっている。オバマ前政権下で辺野古移設を主導した人物で、新基地建設がさらに強行される可能性も指摘される」と危惧する。ジャパン・ハンドラーの再登場だ。
2017年に米軍ヘリの部品が落ちた宜野湾市の保育園の保護者たちが「沖縄の子どもの人権に関わる問題」として、バイデン氏に手紙で訴えたエピソードを取り上げ、「民主党政権は、人権を軽んじたトランプ政権が内政を混乱させ国際批判を浴びる様を見てきたはずだ」と釘を刺す。その上で「軍事戦略議論に留めず、人権問題として沖縄の基地問題に向き合うべきだ」と主張している。
一方の琉球新報の社説も、「沖縄から見ると、新政権発足後も名護市辺野古の新基地建設問題をはじめ基地の整理・縮小は進まないという見方が有力だ」と楽観論を戒める。
そのうえで「トランプ氏が進めた対中強硬路線は、民主党政権に代わっても基本的に踏襲されるとみられる。そうなると日本に安全保障上の分担を求め、沖縄の基地負担は強化される。実際、日本政府は米国との軍事一体化を進め、先島へ自衛隊を配備するなど南西諸島の防衛を強化している。日米による沖縄の基地機能強化は、有事の際に沖縄が標的にされることを意味する」と分析する。
しかし同時に同紙は、
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