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純利益1兆円を超えたソニーが理系就活生に与えるインパクト

間近で見てきた電気電子系学生の就職活動

伊藤智義 千葉大学大学院工学研究院教授

拡大プレステ5の発売直後、大型電器店のゲーム売り場では「次回入荷未定」の貼り紙があった=2020年11月12日、東京都千代田区のビックカメラ有楽町店、鈴木康朗撮影
 今年度のソニーの四半期決算は上方修正が続き、2月3日には「今年度の純利益が過去最高の1兆円を超える見込み」というニュースが流れた。プレイステーション5が11月に発売され、年末には劇場版「鬼滅の刃」が大ヒットしたことが大きな要因だという。10年前は1,000円を割り込むほど低迷していた株価も、ここ数年は持ち直し傾向が続いており、ついに10,000円の大台を超えた(2月5日現在で12,450円)。

 昨年3月、ヨーロッパで都市封鎖が始まったとき、イタリアの南東部の都市バーリの市長が海辺で卓球をしていた若者二人に「家帰ってプレステでもしていろ!」と叱責する映像が流れた。ソニーブランドが世界に浸透している証でもあった。

 就活生はもちろん、学生を預かっている大学教員としては、ソニーが来年度の採用を増やすかどうかは気になるところである。本稿では、狭い領域で恐縮だが、電気電子系学生の就職について、体験を通して得た知見を少しばかり紹介したい。

理工系学生にとってソニーは特別?

拡大ソニー本社ビル=東京・品川、内藤尚志撮影
 ソニーは理工系学生にとって憧れの企業の一つである。特に電気電子系と情報系では根強い人気がある。筆者の専門は電気電子系の中でも情報寄りに位置している。そのためか、研究室の就職先で一番多いのがソニーである。教員になって30年ほどであるが、これまでに10人前後が入社した。グループ会社を合わせると15人前後になる。筆者自身がソニーと特別なパイプを持っているわけではない。卒業生が入社後に活躍していることが、そのままつながりを強くしているように感じている。

 ある年、ソニーに入りたくて筆者の研究室を志望してきた学生がいた。PCやカメラなど、持ちもののほとんどがソニー製という筋金入りのソニー信者であった。念願叶ってソニーから内定を受けたその学生は、嬉しさを抑えきれずに【速報】という件名で研究室宛にメールを配信した。

先ほどソニーから最終面接の結果連絡がありました。
合格しました!!
皆様には、いろいろな面でご協力いただき、ありがとうございました。
もう思い残すことはありません。
大学生活がとても充実したものだったと自信を持って言えます。
本当にありがとうございました。

 2009年4月、彼は修士2年生に上がったばかりで、修了までまだ1年あった。フライング気味のこのできごとは研究室の語り草になっている。

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筆者

伊藤智義

伊藤智義(いとう・ともよし) 千葉大学大学院工学研究院教授

1962年生。東京大学教養学部基礎科学科第一卒、同大学院博士課程中退。大学院生時代に天文学専用スーパーコンピューター「GRAPE」の開発にかかわり、完成の原動力となる。現在は「究極の3次元テレビ」をめざし研究中。著書に、集英社ヤングジャンプ「栄光なき天才たち」(原作)、秋田書店少年チャンピオン「永遠の一手」(原作)、集英社新書「スーパーコンピューターを20万円で創る」など

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