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新型コロナによる肺炎は移植患者の感染症に酷似

コロナ重症患者の治療法へ移植医からの提言

高橋公太 新潟大学名誉教授、日本臨床腎移植学会元理事長

拡大shutterstock.com

移植医が闘った治療法にヒントがあった

 新型コロナウイルス感染症の流行が全世界をのみ込もうとしている。毎日、新たな患者数、流行の推移、そして予防法や検査法がメディアを通じて詳細に報告されている。一方、その治療法についてはわれわれ医師のところにさえ、手探りの治療法しか伝わってこない。これは感染症専門医の間でも意見が分かれている証しであり、そのことが国民に一層不安の種を与えている。

 腎移植を専門にしてきた筆者は、移植後の拒絶反応や合併症、特に感染症の治療を数多く手掛けてきた。その経験から、移植患者の感染症治療にコロナ感染症を解決する重大なヒントが隠されていると考えるようになった。

 私見では、新型コロナウイルスは知らず知らずのうちに3つの病気をもたらして多くの尊い命を奪っていく。「一つの病気に始まり、やがてもう一つの異なる病気が生まれ重なり競い合って、最終的に一つの病気に変貌していく」のである。私は、この異なる病気を医学的に「免疫介在性炎症性間質性肺炎」と名付けることを提唱した。これは私たち移植医が、コロナとは別のウイルスがきっかけで起こる深刻な病状として長年闘ってきた相手である。その闘いの中で得られた教訓をぜひコロナ治療に生かしてほしいと思い、筆を執った。

臓器移植後に頻発するサイトメガロウイルス間質性肺炎

拡大サイトメガロウイルスの模式図=shutterstock.com
 世間一般では、皮膚に痛痒いぶつぶつの発疹が帯状に出る「帯状疱疹」のヘルペスウイルスはよく知られているが、その仲間のサイトメガロウイルス(CMV)はあまり知られていない。移植の黎明期から今日に至るまで、移植医の間では患者を悩ます感染症を引き起こすウイルスとして有名である。特に検査法や抗ウイルス薬が限られていた1980年代は、移植に成功してもサイトメガロウイルス肺炎を発症して多くの患者が命を落とした苦い思い出がある。

 コロナ感染症が引き起こす重篤な肺炎は、筆者が経験してきたサイトメガロウイルスが引き起こす肺炎と極めて似ている。

 コロナ感染症の経過について、ざっと見ておこう。まず、

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筆者

高橋公太

高橋公太(たかはし・こうた) 新潟大学名誉教授、日本臨床腎移植学会元理事長

1948年生。新潟大医学部卒後、東京女子医科大学を経て1995年新潟大学医学部泌尿器科教授。2010年、新潟大学医歯学総合病院総括副院長。日本臨床腎移学会理事長、日本サイコネフロロジー研究会会長などを歴任。ABO血液型不適合腎移植を日本で初めて成功。平成24年度日本医師会医学賞を受賞した。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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