「個に向き合う」を実践して見えてきた東日本大震災の影響の特徴
2021年03月10日
町田市に避難された方々の講演会「東日本大震災を経験した方からのmessage―経験者と支援者 2つの立場から―」のあと、グループに分かれて避難者の方から話を聴く大学生たち=2018年12月13日、玉川大学10年一区切りというが、心に時間は関係ない。今年2月13日の福島県沖地震で「あの時」を思い出した方はたくさんおられることだろう。「まだ言っている」という言葉がけは不適切である。そもそも私達は誰でも、心が傷つくとバランスが崩れるのだ。そしてトラウマを体験すると否定的思考が優位になるため、行政の指示などは、こうした被災者の心を踏まえて前向きできちんと伝わる言葉を使用してほしいと思っている。
本稿では、この10年の私の活動の一端を紹介し、東日本大震災の心への影響の特徴を考えてみたい。
特別講演会「東日本大震災からのあゆみ―川内村を中心とした双葉郡の復興―」というタイトルで講演する川内村復興対策課長(当時)の井出寿一氏。川内村とは2013年からさまざまな形で交流を続けている=2019年12月12日、玉川大学この10年、お会いした被災者の方々は、必ず3月11日当日のことからお話が始まった。お聴きしているとお一人お一人の人生を感じる。
恩師である北山修先生は「マスコミュニケーション」と「パーソナルコミュニケーション」という言葉を使われたが、目の前におられる「一人の人」との関係を大切にするのが精神分析の基本である。
町田市に避難された方々がつながりを求めてできたFMI会(福島宮城岩手の頭文字)に参加する筆者〔右から2番目)。この日は新聞紙を使用してちぎり絵ではがきを作成した。FMI会は、会員の特技を生かし、手芸品、編み物などの作品を町田市のイベントに出店販売して売り上げを市に寄付するなど、避難先地域とのつながりも築いた=2014年5月22日、町田市民フォーラム
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