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ファイザー製ワクチン「7回分採取」を考える

「無策」の政府に代わって民間が出した「苦肉の策」の問題点

川口浩 東京脳神経センター整形外科・脊椎外科部長

 コロナ対策が八方塞がりである。この1年間、政府や対策分科会は国民にやみくもに感染者数の抑制を求め続け、発信するメッセージは「手洗い・マスク・3密回避」だけで何の進歩もなかった。「ステイホーム」「我慢の4連休」「勝負の3週間」「特別な年末年始」……と、続けさまに発信されるキャッチコピーは高圧的で、国民は先が見えないままに自粛を強要され続けた。最近では罰則で脅されている。「瀬戸際の2週間」と延長された緊急事態宣言は成果の無いままに解除された。政府の「無策」ぶりが、国全体に閉塞感を蔓延させている。

拡大コロナ出口戦略の切り札はワクチンだが……

 現状で、ゴールを明確化させる出口戦略の「切り札」はワクチンである。国内で接種が始まった米ファイザー社のSARS-CoV-2ワクチン(商品名:コミナティ筋注)は、1バイアルから6回分採取することがファイザーと厚労省からの指針に明記されている。したがって、このワクチン1バイアルには6個の注射器が付属している。注射器の針は、太さ25ゲージ、長さ25 mmである。これはワクチンの筋肉内注射針の国際標準サイズである。ゲージ(gauge:G)とは針の太さの規格で、数字が大きいほど細い。ちなみに25G注射針の内径は0.30±0.03 mmである。

二つの「7回分採取法」

 しかしながら、ワクチンの国内供給スケジュールは目途が立っていないままである。これに対して、民間から二つの「苦肉の策」が示された。共に1バイアルのコミナティから7回分を採取する方法である。コミナティ1バイアルは0.45 mLの液剤であり、これを生理食塩水1.8 mLで希釈して用いるため、総容量は2.25 mLとなる。1回の注射に0.3 mLを使うので、理論上は7回分を採取できる。

 7回採取の方法のひとつは、宇治徳洲会病院(京都府)からで、インスリン用注射器を用いる方法である。もともとインスリン用注射器は、貴重なインスリンを無駄にしないためデッドスペースがゼロに近くなるように設計されている。ただし、針の太さは29G(内径:0.14±0.03 mm)、長さは13 mmで、共にコミナティ付属の標準注射器よりの約1/2である

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筆者

川口浩

川口浩(かわぐち・ひろし) 東京脳神経センター整形外科・脊椎外科部長

1985年、東京大学医学部卒。医学博士。米コネチカット大学内分泌科博士研究員、東京大学医学部整形外科教室助手・講師・准教授、JCHO東京新宿メディカルセンター脊椎脊髄センター長などを経て、2018年より現職。日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定 脊椎脊髄病医。国際関節病学会理事、日本軟骨代謝学会理事。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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