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「ねずみ算」で増える英国株は、1〜2月程度の自粛では拡大する

従来株を押しのけ、5%のシェアが6週間で70%に。日本は怖さの認識を

山内正敏 地球太陽系科学者、スウェーデン国立スペース物理研究所研究員

拡大山口県では変異株を漏らさずに把握すると会見で話す村岡嗣政知事=2021年3月28日、山口県庁
 日本では年末のコロナ第3波が収束しきる前に関西を中心に第4波が始まり、重症者数に至っては、昨夏第2波のピーク値を下回る前に増加に転じて、医療の逼迫が起き始めた。

 収束する前の再流行は欧州も同じだ。3月以降、第3波に突入し、今まで優等生だったノルウェーやフィンランドすら急増している。2ー3月に順調な収束を続けたのは、ポルトガルと英国、ロシアのみで、これら3カ国ですら下げ止まり気味で、とても収束とは言えない。

 いや欧州だけでなく全世界で3月はコロナが拡大している(図1参照)。秋を迎えた南米だけでなく、南アジア・西アジアもイスラエルを除いて急増しているし、北米も2月まで減少傾向だった米国・カナダが停滞・増加に転じて、減少または低い値で安定している中米・カリブ諸国の値を加えても増加傾向だ。

拡大図1: 大陸別の新規感染者数の推移
Our World data (CC BY 4.0)より

変異株の「最大1.7倍の感染力」の意味

 この増加の原因は、欧州や日本(関西)では明らかに英国株(B.1.1.7株)だ。これは昨年末に次々に「危険な変異」と認識されたコロナの変異株のひとつで、残りの「南ア株」「ブラジル株」は、それぞれ南アと南米全体の流行拡大を引き起こしている。

 昨年12月に英国ジョンソン首相から「最大で1.7倍の感染力」と発表され、その危険性を理解した欧州各国は、対英国境封鎖をするなど、最大級の警戒をみせた。そこには「EUから抜けたのだから移動の自由を考慮しなくても良い」という発想もあったかも知れないが、それ以前に1.7倍(1.4-1.7倍)という数字がそれほど危険だったのである。ちなみに日本も2月から同様の対策を導入している。

 これほど警戒したにもかかわらず、今では欧州各国で従来株に取って代わっている。すり抜けて入り込んだごくわずかの英国株が、ねずみ算式に増えたからだ。

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筆者

山内正敏

山内正敏(やまうち・まさとし) 地球太陽系科学者、スウェーデン国立スペース物理研究所研究員

スウェーデン国立スペース物理研究所研究員。1983年京都大学理学部卒、アラスカ大学地球物理研究所に留学、博士号取得。地球や惑星のプラズマ・電磁気現象(測定と解析)が専門。2001年にギランバレー症候群を発病し1年間入院。03年から仕事に復帰、現在もリハビリを続けながら9割程度の勤務をこなしている。キルナ市在住。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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