餌付けではなく「環境を整える」、ドキュメンタリーは映像祭最高賞
2021年04月28日
長沼町の農家の有志らがタンチョウを呼ぼうとした土地は手付かずの自然が広がる湿原ではなく、洪水対策として人工的に造られた遊水地でした。そこにかつての湿地を再生し、人々の暮らしの真ん中に、タンチョウのための「箱庭」を作ろうという世界的にも例のない試みです。「来るはずがない」と、同じ町民にまで笑われた”農家の夢”がやがて現実となり、そして実に1世紀以上の空白の時を経て、つがいが抱卵するという奇跡が起きます。
私たちは計画が始まった5年前から撮影を始め、農家の皆さんの悪戦苦闘ぶりとタンチョウの飛来、そしてヒナが育つ様子を、「タンチョウを呼び戻す会」の皆さんと一緒に一喜一憂しながら映像に記録し続けました。箱庭にはタンチョウ以外の動物たちも姿を見せるようになります。4万羽もの渡り鳥が飛来する様は圧巻でした。絶滅危惧種のチュウヒが舞い、オジロワシ、オオワシが魚を捕食する姿を札幌近郊で目の当たりにするとは思いませんでした。
取材のきっかけは実は海外からの問い合わせです。2015年頃にフランスの映像関係者から
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