生徒が変わり、大人も変わった――この実績から見える日本の未来と可能性
2021年05月28日
せめて地元の子供たちに海についてもう少し知ってほしい、そんな思いから日生の漁業協同組合(以下、漁協)が日生中に呼びかけて2000年代から始まったのが海洋学習プログラムだ。収穫されたカキを中学生、教員、漁師が一緒になって洗浄する活動から始まり、次第にプログラムを充実させていった。
2013年からは総合的な学習の時間を使うようになり、入学から卒業までの3年間、地元の海での体験学習を通してそこに生きる生物について、そして漁業という営みについて学べるようにプログラムが再編成された。
海洋基本法が2007年に制定され、「国民が海洋についての理解と関心を深めることができるよう、学校教育及び社会教育における海洋に関する教育の推進等のために必要な措置を講ずる」ことになり、海洋学習は今では全国の学校で行われている。これらについて研究した論文や事例集なども出版されている。ただ中学生が3年間にわたり地元の漁師と密接に関わりながら海で活動する学校はあまり見たことがない。日生中は水産学校というわけではなく、どこにでもある公立中学校だが、その取り組みは特別だ。
具体的には1年生は入学とともにまず先輩の2年生から日生の漁業についてレクチャーを受け、その後、海に漂うアマモ(流れ藻)=海藻の一種でアマモ場には多くの魚が生息する=の回収活動(アマモの種をとり海に播種するために、まずは一か所に流れ藻を集め保管する作業)、カキの成長具合の観察、漁師への聞き書き学習、そして1年の終わりには収穫したカキを洗浄し試食するなどの活動が行われる。2年生も同様にこれらのプログラムが継続し、3年生はそれらの活動とともに、3年間の海洋学習をまとめ、また沖縄など他地域における海洋学習の現場を視察する。海の活動の全ては地元の漁協との連携のもとに行われ、中学生は漁師の船で大海原に乗り出していく(写真1、2)。
この海洋学習で中学生の意識がどう変わっていくのだろうか。
環境省が
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