国民全体の医療費を下げるはずだが、行く手に立ち塞がる大きな課題
2021年06月11日
バイオシミラーとは、特許期間が終了したバイオ医薬品と同等の有効性や安全性、品質が確認された後続のバイオ医薬品のことだ。シミラーは「同様の」「類似した」という意味の英語。特許の切れた新薬と同等の効き目や品質をもつ後発の医薬品を「ジェネリック医薬品」(後発医薬品)と呼ぶが、それと同様に、バイオ医薬品のジェネリック版を「バイオシミラー」という。国はジェネリックを「後発」、バイオシミラーを「後続」と呼び、区別している。
ジェネリック医薬品の場合は化学的に合成するので、先行する医薬品と化学的に同じ成分を作れる。しかし、生物の力を借りるバイオシミラーは、先行するバイオ医薬品のたんぱく質の構造とわずかな違いが存在する。このため、各種試験によって、有効性、安全性、品質が先行バイオ医薬品と同等だと国から認められた医薬品に限られる。
バイオ医薬品と聞くと、難しそうな響きをもつが、すでに数多くの疾患の治療に使われている。たとえば、関節リウマチなどの治療に使われるレミケード(生物学的製剤)はバイオ医薬品の一種だ。乳がんなどの治療に使われる分子標的薬のハーセプチンもバイオ医薬品だ。バイオ医薬品が使われる疾患は意外に多く、がん、関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、クローン病、乾癬、ベーチェット病、糖尿病、慢性貧血症など幅広い。いずれも高額な医療費がかかるケースが多いのが特徴だ。
こうした高額な医療費がかかる疾患の治療分野で台頭してきたのがバイオシミラーである。その最大の特色は、
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