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医療費削減が期待される「バイオシミラー」って何?

国民全体の医療費を下げるはずだが、行く手に立ち塞がる大きな課題

小島正美 食・健康ジャーナリスト

拡大shutterstock.com
 「バイオシミラー」とは何か、ご存じだろうか。薬の「ジェネリック」といえば、いまでは多くの人が知っているが、バイオシミラーはメディアに身を置く記者の間でもほとんど知られていないのではないか。バイオシミラーの普及は、年々かさむ日本の医療費を削減する効果がある。しかし、個々の患者にとっては高額医療費に対する医療費助成制度があるお陰でメリットが感じられず、普及が進まない構造になっている。バイオシミラーについて医療関係者だけでなく、一般の人ももっと知っておく必要がありそうだ。

 バイオシミラーとは、特許期間が終了したバイオ医薬品と同等の有効性や安全性、品質が確認された後続のバイオ医薬品のことだ。シミラーは「同様の」「類似した」という意味の英語。特許の切れた新薬と同等の効き目や品質をもつ後発の医薬品を「ジェネリック医薬品」(後発医薬品)と呼ぶが、それと同様に、バイオ医薬品のジェネリック版を「バイオシミラー」という。国はジェネリックを「後発」、バイオシミラーを「後続」と呼び、区別している。

バイオ医薬品は、がん、リウマチなど数多くの疾患で活躍

拡大今までの薬とバイオ医薬品の違い=厚生労働省主催市民公開講座の資料から
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000655575.pdf
 では、バイオ医薬品とは何か。細胞や微生物など生物の力を借りて複雑なたんぱく質をつくり、それを有効成分とする薬のことだ。

 ジェネリック医薬品の場合は化学的に合成するので、先行する医薬品と化学的に同じ成分を作れる。しかし、生物の力を借りるバイオシミラーは、先行するバイオ医薬品のたんぱく質の構造とわずかな違いが存在する。このため、各種試験によって、有効性、安全性、品質が先行バイオ医薬品と同等だと国から認められた医薬品に限られる。

拡大日本で認められているバイオ医薬品の数は年々増えている=厚生労働省主催市民公開講座の資料から
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000655575.pdf

 バイオ医薬品と聞くと、難しそうな響きをもつが、すでに数多くの疾患の治療に使われている。たとえば、関節リウマチなどの治療に使われるレミケード(生物学的製剤)はバイオ医薬品の一種だ。乳がんなどの治療に使われる分子標的薬のハーセプチンもバイオ医薬品だ。バイオ医薬品が使われる疾患は意外に多く、がん、関節リウマチ、潰瘍性大腸炎、クローン病、乾癬、ベーチェット病、糖尿病、慢性貧血症など幅広い。いずれも高額な医療費がかかるケースが多いのが特徴だ。

バイオシミラーは15成分で約100品目

 こうした高額な医療費がかかる疾患の治療分野で台頭してきたのがバイオシミラーである。その最大の特色は、

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筆者

小島正美

小島正美(こじま・まさみ) 食・健康ジャーナリスト

1951年愛知県生まれ。愛知県立大学卒業。2018年まで毎日新聞記者。現在はメディアチェック集団「食品安全情報ネットワーク」共同代表。著書に「メディア・バイアスの正体を明かす」など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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