世界最下位の数学力の子どもたちを算数好きにするべく奮闘中
2021年07月02日
実は、歴史上の大偉人クリストファー・コロンブスと私は浅からぬ縁がある(と、勝手に私は思っている)。私の誕生日10月12日はコロンブスがアメリカ大陸に到着した日で、米国各地で「コロンブス・デー」が祝われる。若い頃アメリカに留学していた時、友人たちはこの日に誕生日パーティーを開いてくれ、「クリストファーとジンに乾杯!」と言って祝福してくれた。
高校時代には「船乗りになって世界各地を巡る」ことを夢見ていたし、2015年にスペインのバルセロナに行ったときはサグラダファミリア教会とともに、港のすぐ側に建つ巨大な「クリストファー・コロンブスの塔」がとても印象に残った。コロンブスは、約500年前にバルセロナのこの港から3隻の帆船と約100人の船乗りを率いてインドを目指して旅立ったそうだ。到着したのはインドではなく、アメリカ大陸だったわけだが、誰もやっていないことを先頭切って実行した進取の気性、そして先見の明にはかねてから敬服していた。
「コロンブスの卵」の逸話は、事実ではないという説もあるそうだが、「最初に発見するのは難しいが、一度わかってしまえば簡単にできる」というのはまさに真実である。数学の定理は、多くが「コロンブスの卵」であると言っていい。だから、この逸話には愛着を感じ、パーティーの隠し芸として私は何度も卵を立ててきた。このように深い縁のあるコロンブスの名を冠した勲章をいただくとは、感無量というしかない。
ここへ導いてくださったのは、駐ドミニカ共和国日本大使館の牧内博幸大使である。経済協力開発機構(OECD)の学習到達度調査(PISA)で数学の成績が世界最下位だった同国に赴任した牧内大使は、理数科教育のお手伝いを日本がしようと考え、私に協力を求めてきた。
大使とは前任地のスペイン・バルセロナでお目にかかっていたが、異動されたころには私は病床にあった。
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください