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展望のないまま突っ走って、その先に何があるのか

辺野古新基地建設を急ぐ国が、沖縄県の条件を無視してサンゴ移植を強行

桜井国俊 沖縄大学名誉教授、沖縄環境ネットワーク世話人

 7月30日の琉球新報紙は、1面トップで「国、サンゴ移植強行 許可翌日・条件ほごに」との見出しで、県から28日に許可を受けたサンゴ類約4万群体の移植作業を沖縄防衛局が、29日から始めたことを驚きと憤りをもって報じた。

 名護市辺野古新基地建設埋め立て予定区域のサンゴ類移植を巡る訴訟の7月6日最高裁判決は、2人の裁判官の反対意見がついたものの県の敗訴となった。

沖縄県名護市辺野古沖のサンゴ移植の許可について発表する玉城デニー知事=2021年7月28日、那覇市の沖縄県庁拡大沖縄県名護市辺野古沖のサンゴ移植の許可について発表する玉城デニー知事=2021年7月28日、那覇市の沖縄県庁

 玉城デニー知事は28日、「じくじたる思いがある」と述べながら、「司法判断に従う」として条件を付してサンゴ類移植を許可した。許可を先延ばしにすれば、国に代執行訴訟を起こされる可能性があるからだ。新基地建設に反対する専門家や市民からは、失望する声や知事判断を疑問視する声があがった。

 知事は許可に際し「移植が難しい高水温や台風の時期、繁殖の時期を避けること」という条件を付した。8月はサンゴ類の移植を最も避けるべき時期だからだ。

 知事は、8月中旬にも軟弱地盤の改良工事を追加する沖縄防衛局の設計変更申請の不承認を行う予定であることから、その時点で工事全体の完成が見通せないとして、今回出したサンゴ類移植の許可を取り消すとし、県民の理解を求めたのである。

 防衛局は2018年、高水温期の8月に希少なオキナワハマサンゴの移植を強行した。このため、今回も県の条件を守る保証はないと危惧されていた。その中での移植着手強行であった。許可の翌日の移植強行は、何が何でも新基地建設を進めるという国の強い意思表明であった。

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筆者

桜井国俊

桜井国俊(さくらい・くにとし) 沖縄大学名誉教授、沖縄環境ネットワーク世話人

1943年生まれ。東京大学卒。工学博士。WHO、JICAなどでながらく途上国の環境問題に取り組む。20年以上にわたって、青年海外協力隊の環境隊員の育成にかかわる。2000年から沖縄暮らし。沖縄大学元学長。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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