感染した劇作家の一人芝居を見、クリスタキス著『疫病と人類知』を読んで考えたこと
2021年08月17日
劇中に出てきた「中世」という言葉が通奏低音となって頭の中で鳴り響く。人類は驚きの早さでワクチンを手にしたけれど、いち早く接種が行き渡ったイスラエルでさえ今年7月以降に感染者が急増している。8月に入っても急増は止まらず、今や人口当たりの感染者数は世界トップクラスだ。
感染力の強い変異株のせいだと説明されているが、結局、感染を押しとどめる対策は「人同士の接触を減らす」に尽きるのだとすれば、まさに中世と変わらないということになる。
一方、医療制度は病院を自由に選んで行ける日本に対して、英国では国営医療システム「国民保健サービス(NHS)」が中央集権的にコントロールしているという違いがある。かかりつけ医が決まっていて、その指示があって初めて大きな病院に行く。通常時はそれを「不自由」と感じる英国民も多いようだが、コロナに関してはNHSのお陰で入院が必要な状態になると速やかに入院できる態勢が構築できている。
自宅療養に入った主人公はかかりつけ医と1日に2回、テレビ電話でチャットをする。かかりつけ医は「画面の様子より声の感じで、より多くのことを判断できる」と言ったそうだ。このくだりを聞いて、日本の「自宅療養」とはまるで違うと痛感した。
日本政府が
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