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熱海土石流災害:法律だけでは不法投棄を無くせない

根本問題は埋め立て先の不足、「よりマシな捨て方」を考えたい

山内正敏 地球太陽系科学者、スウェーデン国立スペース物理研究所研究員

 3年前の豪雨を思い起こさせる豪雨被害が広がっているが、豪雨についてはこれまでも散々書いて来たので、今回は熱海の土石流災害について考えたい。

発生から1カ月となった静岡県熱海市の大規模土石流。捜索が続き、土石流に流された住宅や土砂、木材が少しずつ片付けられていた=2021年8月3日、静岡県熱海市伊豆山、ドローンで福留庸友撮影

 これについては、既に多くの報道や専門家のコメントが出ている。まとめると、原因となった上流の埋め立てには複数の違法行為が見られ、県や市が何度も行政指導したものの、原状回復命令などの強制措置に至らず、結果として、大雨でこの埋め立て地が崩れ始めて、それが谷をはさむ斜面を削りながら土石流になった。誰が見ても人災である。

 これほどの大土石流になってしまったメカニズムについては専門家が自治体とともに解明に当たっているが、さしあたって重要なのが、責任は何処にあったのか、という点と、再発防止策である。なぜ、こういう無謀が実行されたのか、その背景を明らかにしないと、同じ人災が繰り返される。

責任と法律の不備

 まず今回の人災の責任だが、一義的には違法埋め立てをした業者=前所有者(小田原市の開発業者)にあろう。最低でも(重)過失致死傷罪で起訴されるべきと、誰もが感じているのではないか。残土の中に産廃を紛れ込ませるという悪質な埋め立てで、再三の行政指導も無視している。つまり過失どころか、明らかに故意の違法行為だ。

盛り土の崩落について説明する難波喬司副知事=2021年7月14日、県庁

 責任はこの業者以外にもある。違法埋め立てを止められなかった監督部署(熱海市・静岡県)にも何らかの責任はあるし、件の土砂を排出した業者など(https://www.nhk.jp/p/ohayou/ts/QLP4RZ8ZY3/blog/bl/pzvl7wDPqn/bp/pq8LRMmvMq/)、この埋め立てに何らかの関わりのある業者も、埋め立てる場所の異常さを指摘するべきだ。もちろん、現所有者にも責任がある。土地を購入する以上は、現地に行って、管理責任がどの程度あるかを確認する義務があるからだ。もしも問題のある埋め立てと知って取得していたなら、前所有者ほどではないとはいえ、その責任は跳ね上がる。

 しかしながら、これら数多くの責任者のなかで刑事罰に問えるのは、現在の土地所有者だけらしい。というのも、他の責任者は、主犯格の前所有者を含めて時効を迎えているはずだからだ。違法投棄は2009年頃に行なわれ、最後の行政指導すら2010年、売却が2011年2月だ。罪に問える行為は総て10年以上前に起こっている。一方、公訴時効は重過失致死罪ですら10年だ。いくら故意の犯罪でも「単なる過失」と扱われ、危険運転罪のように「時効が倍になる」という措置はないのだ。

 日本の業務上過失致死傷罪は、

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