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コロナ禍での途上国との共同研究、細心の注意を払って実施中

アフリカ・マラウイ湖世界自然遺産で地元関係者による協働管理を目指す

松田裕之 横浜国立大学大学院環境情報研究院教授、Pew海洋保全フェロー

拡大世界自然遺産のマラウイ湖畔チェンベ村の朝の風景=2018年1月、筆者撮影
 アフリカ大陸南東部の内陸国・マラウイを今年8月に訪問し、マラウイ湖国立公園(世界自然遺産)の管理方針や自然資源の活用方法をマラウイの研究者とともに議論した。コロナ禍の中、途上国の、特に漁村への訪問は慎重を期したが、得るものも多かった。我々のマラウイ計画の狙いを紹介し、コロナ禍での海外研究のあり方を考える。

コロナ禍の出国と入国は

拡大マラウイ湖はアフリカ大陸南東部内陸部にある。マラウイ、タンザニア、モザンビークの国境地帯に広がり、南端が国立公園になっている。マラウイは独立以来、対外戦争や内戦を経験していない=ウィキペディア
 海外渡航についてはとかく出入国の可否だけが懸念されるが、一番気を遣ったのはマラウイ入国後の都市部から漁村への移動のコロナ対策である。今回は生物圏保存地域(ユネスコエコパーク)のチルワ湖の漁村も訪問した。国内移動の注意は入国条件にはなく、自ら律するものだ。私はワクチン接種できたので渡航を決断した。ワクチンは変異株にも抑止効果があるというが、他者に感染させるリスクはある。

 渡航条件はワクチン接種の有無と関係なく、渡航前、帰国前、帰国時の陰性証明および渡航前の行動自粛と渡航後の追跡調査のみだった。マラウイのPCR検査場でマラウイ側の陰性証明書をもらうが、その際に日本政府の出国前検査証明書(下図の左)を作ってもらうことと、厚生労働省の質問表に自ら答えてQRコード(下図の右)を作成する必要があった。これらを準備し、流れ作業に沿って抗原検査などを済ませ、問題なく入国できた。

拡大帰国時に必要な日本政府の指定する出国前検査表
拡大マラウイや乗り継ぎの空港と帰国の際に提示を求められた「質問表回答後に得るQRコード」

保護と利用の両立を目指して

拡大マラウイ湖国立公園(離島を除く)と5つの漁村=林珠乃博士作図
 マラウイ湖国立公園に指定されているのは、2万9600平方kmあるマラウイ湖の南端のごく一部、陸域が87.1平方km、水域は7.0平方kmにすぎない。ここには世界的に貴重な固有種魚類がいる。それを保護するための水中保護区と流域保全のための陸域(森林)保護区をもつ。一方、公園に囲まれた5つの飛び地に漁村(左図)がある。従って、自然資源の持続可能な利用による地域の人々の生活向上と自然保護の両立を図る必要がある。

 世界遺産委員会からは自然保護のあり方についていくつか注文がついている。けれども、地域の人々自身による保護と利用の両立を図る取り組み、それを担う次世代の教育と人材育成、技術移転および地元からの技術の工夫には注目している。

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筆者

松田裕之

松田裕之(まつだ・ひろゆき) 横浜国立大学大学院環境情報研究院教授、Pew海洋保全フェロー

京都大学理学部および同大学院博士課程卒業(理学博士)、日本医科大学助手、水産庁中央水産研究所主任研究官、九州大学理学部助教授、東京大学海洋研究所助教授を経て 2003年より現職。GCOE「アジア視点の国際生態リスクマネジメント」リーダー(2007-2012)、日本生態学会元会長、日本海洋政策学会理事、個体群生態学会副会長。ヨコハマ海洋みらい都市研究会共同代表。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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