接種勧奨の再開への動きと、「今秋は絶望的」という見方
2021年09月06日
HPVワクチンは2013年4月、無料で受けられる定期接種の対象になった。ところが、接種後に全身の痛みなどの症状を示す報告が相次いだことから、厚労省は2カ月後の6月、積極的な接種の勧奨を中止した。以来、接種対象者(小学6年~高校1年の女子)の接種率は約70~80%から1%以下に激減した。
あれから8年。今年8月26日に事態が急展開する集まりがあった。自民党の「HPVワクチンの積極的勧奨再開を目指す議員連盟」(会長・細田博之・元官房長官)が衆議院会館で第8回総会(写真)を開き、政府に勧奨再開を強く求める要望を決めたのだ。その中で8年間にわたってHPVワクチンが大量に廃棄され続けていたことが報告された。このままだと製薬会社が日本向けの製造を中止する恐れもあるとの危機意識が会場を覆った。
この状況について、細田会長は「メーカーがいくら製造しても、接種しなければ、廃棄となる。世界の常識はワクチンを打つことだ。日本が貴重なワクチンを廃棄し続ければ、世界から信頼を失うことになりかねない」と今年10月の接種勧奨再開を強く訴えた。
また、自身も子宮頸がんを体験し、その撲滅に取り組んできた三原じゅん子・厚労副大臣も「貴重なHPVワクチンを8年間も廃棄し続けてきたが、今度再び裏切るようなことがあってはならない。これから接種を希望する女性たちに『もうワクチンはありません』といえるのか」と熱く語り、メーカーが製造を中止する事態になる前に勧奨の再開が必要だと力説した。
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