岸田首相の所信表明演説から考える「政治と科学」
2021年10月11日
後者の問いに対する一つの答えは「何の意味もない」だろう。おそらく内閣府に尋ねれば、「特段の意味はありません」という答えが返ってくるに違いない。科学技術への投資を増やし、成長を促す戦略をとることを表すのに「科学技術立国」という一般名詞を使ったに過ぎない、というわけだ。
だが、私は意味を感じずにはいられない。なぜなら、「科学技術創造立国」というスローガンが誕生した理由を聞き知っているからだ。発端は、日本の自動車や家電製品などが世界中で売り上げを伸ばした80年代に、米国から「日本は応用研究をして金もうけするばかりだ」と批判する「基礎研究ただ乗り論」をぶつけられたことだ。「いやいや、日本も基礎研究をどんどんやります」という意思表示として「創造」の2文字が入ったのである
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