国民の多様な意見を反映させた感染症対策の「総合戦略」が必要だ
2021年10月20日
この数週間、新型コロナウイルス感染症の新規感染者は減少を続けており、感染者数の拡大局面は一服したように見える。この間、岸田新政権が発足し、衆議院が解散されて衆院選が公示されたが、各政党のコロナ対策はこれまでのコロナ対策の失敗を十分に踏まえているようには思われない。このままでは国民の不満は解消されず、感染症対策としても不十分な状況が続き、冬場の感染者数の再拡大を招くことが強く懸念される。以下では、日本のコロナ対策のどこが誤っていたか、今後の対策はどうあるべきかにつき、詳しく論じたい。
まず、これまでの政府のコロナ対策をどう評価するかが鍵になる。筆者は、少なくとも、昨年末以来の政府のコロナ対策は、明らかに失敗だったと考える。それは、データから明らかである。コロナ感染症の国際統計指標は多いものの、人種差や各国の社会状況の違いなどから単純な比較が難しい指標も多い。しかし、各国内の2020年(同年2月~12月)の感染者数・死者数と2021年(同年1月~10月10日)の感染者数・死者数の比(2021年/2020年)をとれば、各国の違いの影響を最小化する形で2021年の各国での対策が奏功したか否かを知ることができる。
問題は、なぜこれほどまで、2021年の感染者数・死者数が増える事態を招いたかである。
オリンピックの開催が原因と考える向きも多いと思われるが、オリンピックは最後のきっかけを作ったに過ぎず、その背景には日本の感染症対策の本質的・構造的な問題がある。筆者は、その種の構造的な原因として以下の2つを指摘したい。
第1に、
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