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もう一つのWWW 「知識のインフラ」辞書は技術の塊だった

三省堂のことばの壺 ワード・ワイズ・ウェブ

勝田敏彦 元朝日新聞記者、高エネルギー加速器研究機構広報室長

 ワールド・ワイド・ウェブ(World Wide Web、WWW)が生まれて今年がちょうど30年になるという話を9月10日の『論座』に書いた。インターネットのWWWは、現在では社会のインフラになっており、使っていない人は少ないだろう。だが、ちょっと毛色が違う「もう一つのWWW」が存在することをご存じだろうか。

もう一つの“WWW”=三省堂の「ワード・ワイズ・ウェブ」から
 その名は「ワード・ワイズ・ウェブ(Word-Wise Web)」。三省堂の辞書部門が運営しているサイト「三省堂 辞書ウェブ編集部による ことばの壺(つぼ)」だ。「ワード・ワイズ」とは、「ことばに関する」「ことば志向の」「ことばに通じた」などの意味だという。

 三省堂のWWWには、同社が刊行している辞書や辞典の紹介、言葉に関するコラムなどが掲載されている。2004年10月に誕生するとき、愛称もつけることになって、辞書出版部内で募集した。すると英和辞典の担当者がウェブのWWWにちなんで「ワード・ワイズ・ウェブ」という案を出し、採用された。

共通点は「情報・知識を支えるインフラ」

 「本家」ワールド・ワイド・ウェブの一部でもある「分家」ワード・ワイズ・ウェブが扱う辞書は、本家といろいろ共通点がある。

 本家には写真や画像も載っているが、情報の多くは言葉で表現されている。一方、辞書は世間で使われている言葉を記録して意味を与える。英和辞典などは、言葉と言葉の橋渡しをしているといっていいだろう。分家を運営する三省堂辞書出版部の部長、山本康一さん(55)は言う。

 「辞書も実は、人々の情報・知識を支えるインフラだと思うんです」

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