「医者がもうかれば国民が健康になる社会」は実現可能か?
2021年11月22日
医療ベンチャー企業アンジェスは11月5日、開発中の新型コロナウイルスワクチンについて、昨年6月から今春にかけて実施していた治験で十分な効果を得られなかったとして「治験継続の断念」を発表した。
このワクチンは「国産第1号」のワクチンとしてメディアで大々的に取り上げられ、多くの国民から期待されていた。しかしながら、科学的視点から見ると、このnaked plasmid DNA(キャリアを用いない裸のプラスミドDNA)ワクチンの実用化の可能性は当初よりかなり低かったと言わざるを得ない。Naked plasmid DNAの体内動態・動力学、遺伝子導入効率、標的指向性の制御には、いまだに克服できない大きな障壁が立ちはだかっているのだ。事実、これまで他の感染症を含めて世界中でプラスミドDNAワクチンの複数の臨床試験が行われたが、どれも免疫原性が低く、承認されたものは皆無である。
しかしながら、この承認は「条件および期限付き早期承認制度」による「仮承認」であり、「本承認」の可否はその後5年以内の市販後試験の結果によって決定される。そして、このPMDA再生医療部の「条件および期限付き早期承認制度」こそ、「premature and unfair(未熟で不公正)」と世界中から痛烈な批判を浴びた制度である。
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