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国はなぜ、うそをついてまで地盤調査をしないのか

ボーリングで深場の軟弱地盤が判明すると、辺野古新基地建設は頓挫?

桜井国俊 沖縄大学名誉教授、沖縄環境ネットワーク世話人

 昨年11月25日、政府が出していた辺野古設計変更の申請に玉城デニー沖縄県知事が不承認との判断を示した。その日から間もなく2カ月が経過する。今回の不承認に際して、県が掲げた主たる理由は何であったのか、今後の展望はどのようなものかを以下に見てみよう。

軟弱地盤のイメージ拡大軟弱地盤のイメージ

1.不承認の最大の理由は、B27地点の強度試験の不在

 国が公有水面を埋め立てるには、知事から「承認」を得る必要があり、公有水面埋立法(以下「法」と略)第4条第1項は「都道府県知事ハ埋立ノ免許ノ出願左ノ各号ニ適合スト認ムル場合ヲ除クノ外埋立ノ免許ヲ為スコトヲ得ズ」(この法は大正10年に制定された法律なのでカタカナで表記されている)とし、1号から6号まで免許の基準を示している。

 埋め立ての免許(承認)にはこのすべてに適合することが求められており、一つでも不適合の場合には、免許(承認)を与えてはならないというのが法の趣旨である。

 玉城知事が11月25日に不承認とした理由は、4点あったが、ここでは4点目の「其ノ埋立ガ環境保全及災害防止ニ付十分配慮」(法第4条第1項第2号)の要件を充足しないこと、とりわけ「災害防止」について「十分配慮」をしていないという点を取り上げる。4点の不承認理由の中で、今後の国との攻防において最大の争点となるのは、間違いなくこの点と思われるからだ。

 そもそも今回の設計変更承認申請は、大浦湾に軟弱地盤があることから、当初の設計では埋め立てを実施できないことに端を発したものである。従って、今回申請された設計変更で、適切な軟弱地盤対策がなし得るのか、震度1程度の地震で護岸が倒壊するなど災害の発生する恐れはないのか、という議論が最大の争点となる。

 辺野古新基地建設計画では、大浦湾側の埋め立てにおいて最前面にケーソン護岸C1、C2、C3を建設することとなっているが、この地域は軟弱地盤であることから、水面下70mまでサンドコンパクションパイルを打ち込むSCP工法が採られることとなっている。

 しかし、C1護岸に位置するB27地点は軟弱地盤の最深部で、水面下90mまで軟弱地盤がある。残り20mの軟弱地盤を放置して建設を強行して地震時などにC1護岸が倒壊する恐れはないのかということが最大の争点となっているのである。

 B27地点で行われた地質調査は2017年3月のコーン貫入試験で、他の地点で実施されたボーリング調査は行われていない。2020年4月1日に実施された議員懇談会において、防衛省は、コーン貫入試験は土の強度の測定ではなく、ボーリング調査を補完する形で地層構成の把握を目的としたものであると説明している。

 つまり、B27地点の土の強度の測定が行われていないことは、防衛省も認めている事実である。その上で沖縄防衛局は、最大750m離れた3地点の強度試験のデータからB27地点の強度を推定し、残り20mの地層の地盤改良工事は必要ないと結論している。

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筆者

桜井国俊

桜井国俊(さくらい・くにとし) 沖縄大学名誉教授、沖縄環境ネットワーク世話人

1943年生まれ。東京大学卒。工学博士。WHO、JICAなどでながらく途上国の環境問題に取り組む。20年以上にわたって、青年海外協力隊の環境隊員の育成にかかわる。2000年から沖縄暮らし。沖縄大学元学長。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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