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ジョウビタキの繁殖調査を続ける中高生姉妹

鳥取・大山を舞台に つがい外父性、さえずり……新しいテーマへも挑戦

米山正寛 ナチュラリスト

 「冬鳥」のジョウビタキが国内で子育てを始めている――。論座にそんな報告を掲載する中で、中国山地における繁殖地のひとつ、鳥取県の大山(だいせん)で中高生の姉妹が調査に取り組み、日本鳥学会大会でも発表をしていることを知った。同県米子市在住の楠(くすのき)ゆずはさん=県立米子東高校2年=と楠なづなさん=市立福米中学校2年=だ。未解明のことが多いジョウビタキの繁殖生態を明らかにしようと、足しげく繁殖地へ通って観察を続けてきた2人にオンラインで話を聞いてみた。ご両親をはじめ、さまざまな関係者のサポートを受けながら鳥類への関心を育んだ2人が、地道に集めたデータをもとに科学的な視線で調査の対象と向き合っている姿は、とても印象的だった。

拡大巣立ってまもないジョウビタキの幼鳥=写真はいずれも楠ゆずはさん・なづなさん提供

*   *   *

――いつごろから生きものに興味を持ったのですか?

拡大楠ゆずはさん(右)となづなさん
ゆずは(以下、ゆ) もともと生きもの全般が好きで、幼稚園のころから昆虫を採集して標本を作っていました。両親が生きもの好きだったわけではないのですが、私の興味につき合ってくれて「図鑑がほしい」「虫取りに行きたい」といったお願いにはいつもこたえてくれました。

なづな(以下、な) お姉ちゃんの昆虫採集に、自然とついて行くようになったんです。それからは、いつも一緒に出かけるようになりました。

小学生時代からバードウォッチング

――鳥を見るようになったきっかけは?

 小学校3年生のころ、近所の児童館に小学生対象のバードウォッチングクラブがあって、参加するようになりました。そこには日本野鳥の会鳥取県支部の人が来ておられたので、いろいろ教えてもらうようになったんです。それから、市内にある米子水鳥公園の子どもラムサールクラブにも参加するようになりました。家から車で30分くらいの場所で、両親に連れて行ってもらっていました。

 私は児童館のクラブには入らなかったのですが、ラムサールクラブに参加して、そちらで生きものを見ることを覚えました。それから、野鳥の会の方に姉妹で鳥見に連れて行ってもらうようになりました。

――ジョウビタキのことを調べるようになったのは、どうしてですか?

 冬鳥としてやってくるジョウビタキは、自宅の近所でもよく見かけていました。小学6年生だった2016年5月、大山の山麓(さんろく)で繁殖しているという情報が入ってきて、野鳥の会の人に誘われて一緒に見に行ったのがきっかけです。この年は1回の繁殖で6羽のひなが巣立ったのを観察しました。もともとの繁殖地がロシアや中国であるジョウビタキが日本国内で繁殖するのは、すごく珍しいことだと聞きました。

 その時には、小学3年生だった私も一緒に行きましたよ。夏鳥の季節になっても大山にいるジョウビタキを初めて見たんです。

「やりたい」と思った調査

――見て楽しむだけでなく、学会で報告するような調査・研究をするなんてすごいですね?

拡大ジョウビタキの雄
 大山での繁殖が確認された2016年に、標識調査の資格を持った野鳥の会の方がジョウビタキのひなにリング(足環)をつけたんです。そのようにしておくと、その個体が別の場所で見つかったり次の年に帰ってきたりしたときに、他の個体と見分けることができるのだと教えてもらいました。でも誰かからの情報を待つだけではなく、翌年以降も積極的に調べれば、いろんなことが分かりそうだと感じました。だったら自分たちでやりたいと思ったんです。

 どんな子育てをするのかを次の年に調査しようと、巣箱を作ることも始めました。

――それで次の2017年はどうだったのですか?

 リングをつけた6羽のひなのうち2羽が大山に戻ってきました。

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筆者

米山正寛

米山正寛(よねやま・まさひろ) ナチュラリスト

自然史科学や農林水産技術などへ関心を寄せるナチュラリスト(修行中)。朝日新聞社で科学記者として取材と執筆に当たったほか、「科学朝日」や「サイアス」の編集部員、公益財団法人森林文化協会「グリーン・パワー」編集長などを務めて2022年春に退社。東北地方に生活の拠点を構えながら、自然との語らいを続けていく。自然豊かな各地へいざなってくれる鉄道のファンでもある。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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