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トンガの大噴火は大陸の起源に迫るカギになる

伊豆小笠原とそっくりな地下構造とマグマの存在

田村 芳彦 海洋研究開発機構海域地震火山部門専門部長

 2022年1月15日、トンガのフンガ火山(フンガトンガ・フンガハアパイ)で大規模噴火がおこった(英語ではフンガをハンガと発音する)。東京から9千キロ離れた南半球の火山で、日本の研究者にはなじみが薄い。だが、日本の火山との共通性があり、トンガの噴火が人ごとではないことがわかる。大陸ができる仕組みについても、示唆を与えてくれそうだ。

海底カルデラで続く噴火

 フンガトンガ島とフンガハアパイ島の南には長径3キロくらいの海底カルデラ(陥没地形)があり、2島はその北と北西側のカルデラ縁にできた火山島だ(下図)。1988年にはカルデラの南側海底から噴火があり、2009年には西側のフンガハアパイ付近の海域から噴火があった。2島は、13年にはそれぞれ長さ2キロ、高さも海面から114メートルあった。14年と15年に2島の間で噴火が起こり、火山噴出物と再堆積した火山灰によってつながった。つまり、直径5キロの範囲で何回も噴火が起こっていた。

拡大フンガトンガ島、フンガハアパイ島とカルデラおよびこれまでの噴火口の位置。下図はフンガ火山の断面。フンガ火山は底径30km、深さ1700mから成長した成層火山であり、その山頂部がフンガトンガ島、フンガハアパイ島であり、山頂に長径3㎞のカルデラ(火山性の陥没地形。火口より大きいものをカルデラと呼ぶ)がある。論文1)と2)の図を簡略化して作成

 ところが今回の爆発的噴火によってこの2島とつないでいた陸地の大部分が海没したようだ。地滑りを起こして山体が崩壊し、海底火山斜面を流れ下った可能性がある。あるいは噴出した大量の火山灰によってマグマ溜まりが陥没して、直径が5キロ以上のカルデラを形成し、陸上部が消失したのかもしれない。今回の噴火の実態を解明するためには詳細な海底調査による地形変化の解明と噴出物の化学分析が必要である。

 そもそもフンガ火山とはどのような火山であるのか、なぜマグマが生成するのか、どのようなマグマを噴出していたのかについては、これまでの研究でかなりわかっている。

トンガ周辺は伊豆小笠原にそっくり

 直線ではなく、弓なりに島が続く地形を(島)弧と呼ぶ。トンガ・ケルマディック弧は、太平洋プレートがトンガ・ケルマディック海溝からインド・オーストラリアプレートに沈み込むことによって形成される火山弧であり、ニュージーランドの北島からトンガにかけて2800キロ続く。

拡大トンガ弧とトンガタプ島およびフンガ火山の位置。太平洋プレートがトンガ海溝に沿ってインド・オーストラリアプレートの下に沈み込んでいる。このプレートの沈み込みのよって形成されたのがトンガ弧である。南へはニュージーランドの北のケルマディック弧に続いている。伊豆小笠原弧がマリアナ弧まで続いているのと同様だ。

 北部はトンガ弧、南部はケルマディック弧と呼ばれ、トンガ弧の東のトンガ海溝は世界最深のマリアナ海溝に次いで深く、最深部は10800 メートル。太平洋プレートの沈み込みでできる火山という点で、伊豆小笠原マリアナ弧の火山と

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筆者

田村 芳彦

田村 芳彦(たむら・よしひこ) 海洋研究開発機構海域地震火山部門専門部長

石川県出身。毎日白山を見ながら小学校へ通う。金沢大学教育学部附属高校、東京大学理学部地学科卒。理学博士。専門は火山学・岩石学。金沢大学理学部助手を経て2000年からJAMSTEC(海洋研究開発機構)に勤務。 船酔いを克服して海底火山の研究に邁進。国際誌に発表したものは、火山はマントルの熱い指の上にできる(ホットフィンガーモデル)、海底カルデラの生成モデル、海から大陸ができる(アドベント・オブ・コンチネンツ)など。

※プロフィールは、論座に執筆した当時のものです