続・実践・日本でも配電網を地域で持てるようにしよう!
金山デッキは、余った再エネの電気を地域で融通する実験場だ
小林光 東京大学教養学部客員教授(環境経済政策)

金山デッキの家庭用蓄電池システム。23kW時の容量があるので、停電しても数日は安心だ=スマートソーラー社提供
そこで、金山デッキでは、23kWhもの容量がある蓄電池を設け、昼間の余った電気をため、夜でも雨の日でも、自前の、CO₂を出さないエネルギーで家の設備を動かせるような仕組みを設けた。
省エネして残った、少ないけれどどうしても必要なエネルギーを、再生可能エネルギーで賄う、という二段構えの取り組みが脱炭素の最善手である。さらに、この蓄電設備のおかげで、ここでは、台風や大地震で停電した場合、天気が発電に向かなくても、数日間は平穏に生活が営める、という高い安全性も実現できた。
エネルギーを余分に生み出す家
ZEH(ゼッチ):住宅における脱炭素の具体化は、以上のような取り組みで十分に果たせる。金山デッキは、エネルギーを必要量比51%余分に産みだす家、CO₂の観点ではZEH(Zero Emission House)としての認定を受けた。
暮らしで使うエネルギーの量は、実は、住宅敷地に降り注いでくる太陽エネルギーの総量よりはるかに少ない。設備さえあれば、私たちは、自然の恵みだけを頼りにして暮らしを営める。金山デッキでは、まずもってその点を実証したい。
LC(ライフサイクル)CO₂マイナス:金山デッキは、さらにもっと大きな視点で脱炭素を果たしたいと考えて構想された。それは、
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