「どうしたら、よき祖先になれるか」という問いに、私たちはどう答えるのか
2022年03月14日
上白石萌音さん演じる安子の「あんこのおまじない」。テレビから香るのは、あるはずのないあんこの匂い。
1世紀(100年)に渡る家族の物語は、涙なしには見られない。その世界観にあっという間に魅了された私は、毎朝の15分が待ち遠しくて仕方ない。
年を重ねてはじめてわかる親の苦労や、何げない言葉に秘められた思いが胸に迫る。自分がここに生きている限り、その上に幾重にも重なった他者が存在している。
自らの人生を過去へとさかのぼると、思い浮かぶのはせいぜい、両親と祖母くらいだ。顔も名前も知らない先祖は山ほどいる。血縁関係への意識が昔より薄れていることへの表れかもしれないが、私は祖父の存在すら危うい。
母方の祖父とは一度も顔を合わせたことがない。私が生まれる前、母が高校生の頃に亡くなったため、そもそも記憶のうちにいない。どこか神秘的なベールに包まれている。
生まれてこの方、つかむにつかめない存在だった祖父だが、昨年秋、前触れなく私たちの前に姿を現してきた。
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