メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

20年ぶりの活発さを見せるオーロラ活動

今回の極大期ではオーロラ画像の自動判定が進むだろう

山内正敏 地球太陽系科学者、スウェーデン国立スペース物理研究所研究員

拡大オーロラはスマートフォンでも撮れるようになったが、オーロラの魅力の1割も再現していない=Sandra Fjellborg撮影
 太陽活動の新サイクル(文末に解説)が2019年末に始まって2年余りとなり、太陽活動が急速に高まってきた。その極大期に当たる数年間は、オーロラ活動等の超高層現象が盛んになって、宇宙天気災害(大規模停電やナビの狂い、人工衛星の故障など)が起こったりする。

 実際、宇宙天気災害「らしき」事件も起こっているが(筆者注:2月3日にスペースX社が打ち上げたスターリンク衛星49個のうち、約40個が軌道投入に失敗した件で、スペースX社は宇宙天気災害との見解を出したが、これには色々と不審な点もあって、実は宇宙天気災害と呼ぶべきか分からない。なので別の機会に計画そのものの問題を含めて語りたい)、本稿ではオーロラについての世間話でも提供したい。ウクライナ情勢次第では、第3次世界大戦=核戦争すら起こりかねない状況だが、そんな不安な時こそ、楽しい科学の話で心を静めて頭を冷やす価値があろう。

 私の勤め先であるスウェーデン国立スペース物理研究所(IRF)は、キルナ市(スウェーデン最北の街)という地の利を生かして、その前身・前々身以来、長年オーロラのデータを取り続けている。そのデータには最新鋭の高解像度のものと観測の継続性を重視した全天カメラ(魚眼レンズ)の画像もある。後者は2002年からはデジタルカメラで毎分撮影しており、過去20年のデータを簡単に検索出来る。

オーロラ活動18年ぶりに活発化 週3日以上、頭上で“爆発”

 そのカメラで確認する限り、現時点のオーロラ活動は前回の活動ピークである2011-2014年を超えている。太陽活動自体は10-12年周期で変化し、それに伴ってオーロラ活動も10年ほど前に極大期を迎えたものの、前回のピークは100年ぶりの低調なものだった。そのため、まだ太陽活動の極大にも至っていない現時点で、前回のピークを既に上回っているのだ。

 オーロラ観光のメッカの一つであるキルナ市は、Covid-19関係の勧告も、2月前半に全部取り払われて以来、過去2シーズンの旅行を自粛した分まで取り返すかのように、過去最多のオーロラ観光客が毎週訪れているが、オーロラに関してはCovid-19による自粛で今春に変更してかえって幸運だったはずだ。

拡大スウェーデン国立スペース物理研究所(IRF)の全天カメラが撮影したオーロラ=2022年1月14日、IRFのKAGO部門提供
 たとえば、オーロラ活動の中でも、科学的にも、宇宙天気災害の意味でも重要な「オーロラ爆発(専門用語でサブストーム)」は、年末以来、週に3日以上、頭上での爆発が見られている。これは18年ぶりの頻度だ。ちなみに、この「爆発」は数分から十数分だけオーロラが広い範囲で激しく動き回るもので、これが頭上で起こった場合、オーロラは全天を覆いつつ激しく動く(目がいくつあっても足りない)。全天+激しい動きという2つの特性故に、写真はおろかビデオでも再現できない美しさで、どんなに口うるさいオーロラ観光客でも満足するだろう。

 そんな「頭上の爆発」が週に3日以上起こっているのである。毎週2~3日が全天を雲に覆われていることを考えると、晴れていれば7割以上の確率だ。頭上だけでなく北の空で起こっている分を含めると、雲でオーロラが遮られている夜以外は9割以上の夜で「爆発」が見えていると言えよう。

 活動の盛んさを象徴するかのように、オーロラがスウェーデン南部や欧州本土にまで拡大する例も増えている。オーロラ爆発の起こりやすい領域は極地の地磁気緯度65-70度が中心で、北欧だとラップランドに当たるが、規模が大きくなればそれが1000km以上も南で見えることだってありうる。

 その回数が今年に入って非常に多いのだ。特に1月14~15日は2日続けてストックホルムでオーロラが舞った。ストックホルムに近い支部の研究所員に聞くと、過去30年、ストックホルムで2日連続というのは記憶に無いそうだ。このうちの1月14日のオーロラをIRF所有のキルナ全天カメラで撮ったものを動画で紹介する。

スウェーデン国立スペース物理研究所(IRF)の全天カメラで撮影したオーロラ=2022年1月14日、IRFのKAGO部門提供

 撮影は1分に1枚である。画像は地面から空を見上げているので、左が東で右が西(地図と逆)になる。オーロラが次第に南(画像の下)に移り、やがて南の地平線に張り付くようになったが、この時に、スウェーデン南部やドイツでオーロラが出ていたのである。

拡大2022年1月14日、IRFの全天カメラで撮影したオーロラ爆発前後の連続写真=IRFのKAGO部門提供
CC_BY_NC:IRF-KAGO

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

山内正敏

山内正敏(やまうち・まさとし) 地球太陽系科学者、スウェーデン国立スペース物理研究所研究員

スウェーデン国立スペース物理研究所研究員。1983年京都大学理学部卒、アラスカ大学地球物理研究所に留学、博士号取得。地球や惑星のプラズマ・電磁気現象(測定と解析)が専門。2001年にギランバレー症候群を発病し1年間入院。03年から仕事に復帰、現在もリハビリを続けながら9割程度の勤務をこなしている。キルナ市在住。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

山内正敏の記事

もっと見る