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供給が半減しても在庫が増加し続けるクジラの肉、いったいどうするの?

「調査捕鯨」から「商業捕鯨」になって捕獲規模は縮小、でも赤字体質は変わらず

佐久間 淳子 フリージャーナリスト

 2019年7月に日本が商業捕鯨を再開してからまもなく3年になる。今年は4月3日に沿岸域の商業捕鯨が始まった。

 筆者はこれまでに、2019年1月には「商業捕鯨がどうなるか」を予測し、2020年3月には初年の状況を整理した。規模がかなり縮小するのは、そのときには明白になっていた。その後2年経ってどうなっているのか。統計データを元に紹介する。

供給が減っても増える在庫

図1 鯨肉の供給と市場流通在庫図1 鯨肉の供給と市場流通在庫
 まずは、鯨肉の供給状況だ。

 図1の積み上げ棒グラフは鯨肉の年間供給量を、折れ線グラフは月末の在庫量を示している。

 積み上げ棒グラフの2018年までは、下から南極海産(調査捕鯨)、北西太平洋(調査捕鯨、主に200カイリよりも東側)、沿岸域(調査捕鯨)、定置網による混獲、輸入(アイスランド、ノルウェー)の順。2020年からは、200カイリ内の沖合、沿岸域、定置網による混獲、輸入(ノルウェー)の順で積み上げている。

 沿岸調査を含む基地式捕鯨業者(旧称沿岸小型)による生産トン数は公表されていないので、過去の調査捕鯨の公表された記録などから、1頭あたりの可食部トン数を1.5~1.6トンと仮定して求めた。混獲は、過去5年の平均201トンを用いたが、近年の傾向からするともっと少ないと思われる。また、ここではイルカやツチクジラなどのハクジラ類の肉を除外しているが、年間合計500トン程度と推定される。

下関に入港した捕鯨母船「日新丸」=2021年11月14日、山口県下関市下関に入港した捕鯨母船「日新丸」=2021年11月14日、山口県下関市
 2019年の供給内訳には、調査捕鯨と商業捕鯨の肉が混在している。加えて、前年中にアイスランドから日本に運ばれたナガスクジラ肉が1~2月に通関し、ノルウェー産ミンククジラ肉144トンとあわせて計1612トンが市場に出た。このため、年間総供給量は過去4年間よりも多くなった。

 だが、続く2020年と2021年は、2015~18年よりも供給量が半分程度に減っている。200カイリ内での捕獲だけになり、輸入もノルウェー産200トン程度のみになったからだ。

基地式(沿岸)捕鯨は不振

 母船式捕鯨と基地式(沿岸)捕鯨の、それぞれの状況をみてみよう。

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