「調査捕鯨」から「商業捕鯨」になって捕獲規模は縮小、でも赤字体質は変わらず
2022年05月17日
2019年7月に日本が商業捕鯨を再開してからまもなく3年になる。今年は4月3日に沿岸域の商業捕鯨が始まった。
筆者はこれまでに、2019年1月には「商業捕鯨がどうなるか」を予測し、2020年3月には初年の状況を整理した。規模がかなり縮小するのは、そのときには明白になっていた。その後2年経ってどうなっているのか。統計データを元に紹介する。
図1の積み上げ棒グラフは鯨肉の年間供給量を、折れ線グラフは月末の在庫量を示している。
積み上げ棒グラフの2018年までは、下から南極海産(調査捕鯨)、北西太平洋(調査捕鯨、主に200カイリよりも東側)、沿岸域(調査捕鯨)、定置網による混獲、輸入(アイスランド、ノルウェー)の順。2020年からは、200カイリ内の沖合、沿岸域、定置網による混獲、輸入(ノルウェー)の順で積み上げている。
沿岸調査を含む基地式捕鯨業者(旧称沿岸小型)による生産トン数は公表されていないので、過去の調査捕鯨の公表された記録などから、1頭あたりの可食部トン数を1.5~1.6トンと仮定して求めた。混獲は、過去5年の平均201トンを用いたが、近年の傾向からするともっと少ないと思われる。また、ここではイルカやツチクジラなどのハクジラ類の肉を除外しているが、年間合計500トン程度と推定される。
だが、続く2020年と2021年は、2015~18年よりも供給量が半分程度に減っている。200カイリ内での捕獲だけになり、輸入もノルウェー産200トン程度のみになったからだ。
母船式捕鯨と基地式(沿岸)捕鯨の、それぞれの状況をみてみよう。
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