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まちの未来は、市民である我々で決める

「シャブ漬け」で脚光を浴びた牛丼チェーンの進出で思うこと

宮﨑紗矢香 人間活動家

=shutterstock.com
 ベーカリーチェーンの「神戸屋」の跡地に、牛丼の「吉野家」ができた。最寄り駅の改札を通るとき、ファミマの隣にあるテナントが変わっていることに気づいて、暗澹(あんたん)たる気持ちになった。

 「生娘をシャブ漬け戦略」

 「田舎から出てきた右も左もわからない女の子を、無垢(むく)・生娘のうちに牛丼中毒にする」

 「男に高い飯をおごってもらえるようになれば、(牛丼は)絶対に食べない」

 くだんの炎上発言が頭をかすめる。

 たまたま、地方の滞在先から戻ってきたところに吉野家がお目見えしていたので、余計にやるせない気分になった。

 人の往来が激しい改札付近で、売り上げがあがるのは、パンより牛丼ということなのだろう。私が足を運んでいた限りでは、神戸屋の客足は少なくなかったと思うが、中毒になるまでリピーターを増やす吉野家には劣るのだろうか。

 家から徒歩5分の距離にある別のベーカリーレストランも、気づけば姿を消していた。

 木々が生い茂っていた店舗もろともクレーンで取り壊され、だだっ広い駐車場つきの24時間営業コンビニに姿を変えていた。

 大きな交差点がある道路沿い。立地場所も申し分なく、開店直後から利用客も上々で、近隣住民はもちろん、遠方ナンバーの車も頻繁に乗り入れている。

 昨年末から、「好きで世界を創る」が売り文句の経営スクールに参加しているが、そこで学んだ基礎知識を今こそ使えると思った。

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 顧客がその事業に対して一生涯に使った金額を指す、「LTV(ライフ・タイム・バリュー)」を用いると、たとえば、現在20歳のAさんが、80歳まで生きるとして、週3の頻度、平均単価500円でコンビニを利用すると、LTVは576万円になる。

 同じAさんが、多く見積もっても年5回の頻度、単価2000円でベーカリーレストランを利用した場合の60万円と比べれば、圧倒的な差だ。

 「取引期間が長く、頻度が多いほど高くなるLTVは、事業における基本の数字であり、LTVが大きいほど企業のサービスや製品は継続的に顧客に選択され、利益も高まる」という鉄則は、皮肉なまでにその通りだ。

 「限界売上」という知識を使えば、改札口横の吉野家の売り上げの最大値もわかる。

 顧客数、単価、リピートの全てを最大限に見積もって計算する。7:00から23:00までの営業時間で、席数24、一人当たりの平均滞在時間を30分、顧客単価600円とした場合、吉野家の限界売上は、600(円)×24(席)×16(時間)×2(30分は1時間の半分のため)=46万800円となる。

 安く、早く、大量に。資本主義の原理ここにあり、か。

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 郊外のニュータウンで育ったので、幼いときからチェーン店には見慣れていた。サーティワンやミスタードーナツには夏も冬もよく行ったし、部活帰りに、マックでチキンフィレオを買って帰るのがお決まりになっていた。

 転機は3年前。

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