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日本政府に脱化石燃料への行動を迫るG7加盟国

G7気候・エネルギー・環境大臣会合からG7サミットを展望する

松下和夫 京都大学名誉教授、地球環境戦略研究機関シニアフェロー

ショルツ連立政権のリーダーシップ

拡大ドイツのショルツ首相=2021年9月7日撮影
 ドイツのショルツ連立政権は、国内の石炭火力フェーズアウトを2030年に前倒し、再生可能エネルギーを急ピッチで拡大し、イノベーションを推進することをドイツ経済の成長エンジンと位置づけるなど政権発足当初から精力的な取り組みを行い、国際的にもG7サミットに向けて合意形成をリードしている。ロシアのウクライナ侵攻を契機としたエネルギー危機を、脱化石燃料依存で再生可能エネルギー中心のエネルギーシステムへの移行への契機と位置づけ、気候変動対策を加速できるかどうか、ドイツの手腕が注目される。

 大臣会合コミュニケでは、ロシアによるウクライナ侵攻を機にエネルギー、資源価格が高騰している点に強い懸念が示され、エネルギーの脱ロシア依存に向け、供給元やサプライチェーン(供給網)の多様化で相互協力することも盛り込まれた。2023年にG7議長国を務める日本については、ネットゼロ社会への移行に向け、ドイツのリーダーシップをどう引き継げるか、世界が注目している。

正念場を迎える日本のエネルギー転換

 日本政府の第6次エネルギー基本計画 における2030年度のエネルギーミックスは、化石燃料で発電の41%(うち石炭火力で19%)を、原発で20〜22%を、再生可能エネルギーで36〜38%を供給することとしている。

 既述のように大臣会合コミュニケでは排出削減対策が講じられていない国内石炭火力発電所を廃止する方針が共同声明に盛り込まれた。このコミュニケでは「石炭火力廃止時期」が明示されてはいないが、明確な廃止時期を求める声が欧米を中心とした国際社会で強まっている。今後、2022年6月下旬開催のG7サミットや11月にエジプトで開かれる国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP27)ではさらに厳しい対応を迫られるであろう。

 2035年までの電力部門での脱炭素化達成のためには、国内政策の見直しが急務である。とりわけ再生可能エネルギー中心の電力システムへの移行が必要だ。それと同時に、エネルギー需要の抜本的な削減も求められる。

 日本はアンモニアや水素を石炭火力に混焼する技術などを推進しようとし、すでに20%程度のアンモニアを混ぜる実証実験などが始まっている。しかし

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筆者

松下和夫

松下和夫(まつした・かずお) 京都大学名誉教授、地球環境戦略研究機関シニアフェロー

環境省、OECD環境局、国連地球サミット上級計画官、京都大学大学院地球環境学堂教授(地球環境政策論)など歴任。現在国際アジア共同体学会理事長、日本GNH学会会長も兼ねる。専門は、環境政策、持続可能な発展論、気候変動政策など。著書に、「気候危機とコロナ禍」、「地球環境学への旅」、「環境政策学のすすめ」、「環境ガバナンス」など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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