小島正美(こじま・まさみ) 食・健康ジャーナリスト
1951年愛知県生まれ。愛知県立大学卒業。2018年まで毎日新聞記者。現在はメディアチェック集団「食品安全情報ネットワーク」共同代表。著書に「メディア・バイアスの正体を明かす」など。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
単なる「無添加」、健康・安全との関連づけなど~注意すべき表示を10分類
スーパーなどでよく見かける食品の包装の上に記された「人工保存料不使用」などの表示。こうした食品添加物の「不使用表示」は消費者を惑わすとして、消費者庁は3月末、「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」を公表した。主な目的は消費者の誤認を防ぐためで、新たに設けた事業者が守るべき10の類型(表示禁止事項)も盛り込んでいる。新しいガイドラインは2024年春から適用されるが、誤解を生む不使用表示がどこまで改善されるかは、消費者の監視次第だといえそうだ。
スーパーに行き、食品を手に取ると、大きな文字の「無添加」や「人工着色料不使用」などの表示が目に入る。しかし、ただ「無添加」と書いてあっても、何が無添加なのかが分からない食品が多い。また、「保存料不使用」と表示されていながら、保存料ではない別の食品添加物が保存・日持ち向上目的で使用されている(ただし、それが表示されていても、一般の消費者が保存目的と気づくのは難しい)商品も見られる。
こうした表示は、表示から受ける内容物の印象と実際の内容物が異なることから生じる誤解や「不使用表示」の内容物のほうが不使用表示のないものよりも「より優れた」商品だと誤認させるおそれがあると指摘されてきた。
実際、食品添加物は国によって安全性が確認されているが、消費者庁が2020年度に実施した「食品表示に関する消費者意向調査」では、約7~5割の人は不使用表示に対して「安全と感じる」(66%)や「健康に良さそう」(52%)と答え、食品添加物への理解が不十分なことが分かった。
こうしたことから、消費者庁は昨年3月から1年間、「食品添加物の不使用表示ガイドライン検討会」(座長は池戸重信・宮城大学名誉教授、委員11人)で議論を重ね、今年3月末、誤認を防ぐために事業者が注意すべき、違反の恐れが高い表示10類型を示し、ガイドラインにまとめた。
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