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食品添加物の「不使用」表示指針を消費者庁が作成 消費者惑わす表示は減るのか?

単なる「無添加」、健康・安全との関連づけなど~注意すべき表示を10分類

小島正美 食・健康ジャーナリスト

 スーパーなどでよく見かける食品の包装の上に記された「人工保存料不使用」などの表示。こうした食品添加物の「不使用表示」は消費者を惑わすとして、消費者庁は3月末、「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」を公表した。主な目的は消費者の誤認を防ぐためで、新たに設けた事業者が守るべき10の類型(表示禁止事項)も盛り込んでいる。新しいガイドラインは2024年春から適用されるが、誤解を生む不使用表示がどこまで改善されるかは、消費者の監視次第だといえそうだ。

なぜ「不使用表示」のガイドラインか

=shutterstock.com
 スーパーに行き、食品を手に取ると、大きな文字の「無添加」や「人工着色料不使用」などの表示が目に入る。しかし、ただ「無添加」と書いてあっても、何が無添加なのかが分からない食品が多い。また、「保存料不使用」と表示されていながら、保存料ではない別の食品添加物が保存・日持ち向上目的で使用されている(ただし、それが表示されていても、一般の消費者が保存目的と気づくのは難しい)商品も見られる。

 こうした表示は、表示から受ける内容物の印象と実際の内容物が異なることから生じる誤解や「不使用表示」の内容物のほうが不使用表示のないものよりも「より優れた」商品だと誤認させるおそれがあると指摘されてきた。

 実際、食品添加物は国によって安全性が確認されているが、消費者庁が2020年度に実施した「食品表示に関する消費者意向調査」では、約7~5割の人は不使用表示に対して「安全と感じる」(66%)や「健康に良さそう」(52%)と答え、食品添加物への理解が不十分なことが分かった。

 こうしたことから、消費者庁は昨年3月から1年間、「食品添加物の不使用表示ガイドライン検討会」(座長は池戸重信・宮城大学名誉教授、委員11人)で議論を重ね、今年3月末、誤認を防ぐために事業者が注意すべき、違反の恐れが高い表示10類型を示し、ガイドラインにまとめた。

基準9条違反の恐れ=表示禁止事項を10類型で明確化 

 食品添加物の不使用表示に関しては、もともと食品表示基準第9条で消費者の誤認を防ぐ規定はあった。だが、具体的にどういう表示が誤認につながるかを詳細に定めた規定はなかった。このため、事業者が任意で「無添加」や「不使用」の表示を行ってきたのが実情だ。

 今回のガイドラインは具体的な表示禁止事項を10類型で示し、どういう不使用表示が9条違反に当たる恐れが高いかを明確にした。

 検討会では賛否両論の意見があった。一部事業者や一部生協からは「企業努力で無添加を実現した場合は、不使用表示を認めるべきだ」との声もあったが、「主婦連合会」など多数の消費者団体から「無添加表示の行き過ぎを是正すべきだ」との意見が強く出た。今度のガイドラインは消費者団体の多数意見をくみ取った形になり、適用までに2年間の経過措置期間(2024年3月末)が設けられたとはいえ、不使用表示の商品を販売してきた事業者にとっては厳しい内容となった。

 このガイドラインを受けて、消費者庁は「今後、事業者は

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