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6月30日は「アステロイドデー」天体衝突について考えよう

3万個の天体が地球に接近する可能性

山岡均 国立天文台天文情報センター長・准教授

 毎年6月30日は、2016年に国際連合が定めた「アステロイドデー」だ。直訳すれば「小惑星の日」だが、この日を中心に、小惑星をはじめとする天体の地球衝突についての危険意識を高めること、また天体衝突から私たちの地球や社会、そして未来の世代を守るために何ができるかについて、市民が議論し学ぶことを目標に、さまざまな活動が展開される。なぜ6月30日かというと、1908年にシベリアのツングスカで起きた有史以来最大の天体衝突と推定されている爆発現象を記念したものだ。

きっかけは、木星への彗星衝突

 天体衝突の重要性が天文学の世界で広く認識されるようになったきっかけは、1994年に起きた木星への彗星(すいせい)衝突だろう。この彗星は、衝突の2年前に木星に大接近して、潮汐力(ちょうせきりょく)によって直径数km以下の20個以上の破片に割れてしまった。その破片が続々と、数日間にわたって木星に衝突したのだ。数珠つなぎになった衝突の瘢痕(はんこん)は、数カ月もの間、木星の表面で観測されつづけた。この現象は、天体の衝突が絵空事ではないことを人類に鮮烈に印象づけることとなった。

拡大木星面に残された衝突痕。ハッブル宇宙望遠鏡で撮影(クレジット:Hubble Space Telescope Comet Team and NASA)
The Lasting Impacts of Comet Shoemaker-Levy 9

拡大美星スペースガードセンター(クレジット:JAXA)
 このような衝突が、地球で起きたらどうなるのか? その懸念が原動力となって、1990年代後半から、小惑星捜索プロジェクトが多数実施されることになった。地球に衝突しそうな小惑星を根こそぎ見つけて、その危険性を監視するためだ。米アリゾナ州のローウェル天文台が主導するロネオス(LONEOS)、米リンカーン研究所が主導するリニア(LINEAR)などが有名どころで、日本でもNPO法人日本スペースガード協会(事務局・東京都墨田区)が岡山県井原市に設置された美星スペースガードセンターで捜索プロジェクトを実施している。

 これらの活躍で、軌道がはっきり決まった小惑星の数は、1990年代末に1万個ほどだったものが、2022年現在では60万個を超えるまでになっている。地球に接近する天体は、軌道未確定のものも含めると

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筆者

山岡均

山岡均(やまおか・ひとし) 国立天文台天文情報センター長・准教授

1965年、愛媛県生まれ。国立天文台天文情報センター長・准教授。東京大学大学院理学系研究科天文学専攻で学び、理学博士(東京大学)。九州大学大学院理学系研究科助教等を経て現職。専門は超新星をはじめとする突発天体現象と恒星の進化の理論的観測的研究。天文学の普及と広報に努めており、日本天文学会天文教育委員長、国際天文学連合天文アウトリーチ日本窓口などを歴任。著書に「大宇宙101の謎」「君も新しい星を見つけてみないか」など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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