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日本政府は「気候クラブ」形成にどう関与するか

ドイツのG7サミットから今後の気候政策とエネルギー転換を展望する

松下和夫 京都大学名誉教授、地球環境戦略研究機関シニアフェロー

年内の設立に向けて動き出す「気候クラブ」

 今回のG7サミットの宣言の中では、年内の設立に向けて協力することが合意された「気候クラブ」という気候変動問題への新たなアプローチが注目を集めている。G7というプロセスを舞台として発展した国際気候政策の考え方が導入されようとしている。

ショルツ首相拡大ドイツのショルツ首相=2022年6月24日撮影

 議長国ドイツのオラフ・ショルツ首相は、かねて「気候クラブ」の熱心な提唱者であった。2021年8月には財務大臣(当時)として、国際気候変動クラブに向けた共同重要課題ペーパーを発表している。首相就任後ショルツ氏はG7議長国首脳として議論をリードし、2022年2月24日のG7首脳会議では、「国際的なルールと整合的で、G7を超えた参加を得た、開かれた協調的な国際気候クラブの設立を探求するという」という決議がされている。

 また、5月27日に発表されたG7気候・エネルギー・環境大臣会合コミュニケでも、「2月のG7首脳による国際気候クラブの設立を探求する決定を想起する。(中略)我々は、気候クラブの提案について最初の議論を行っており、我々の議論を強化し、G20 パートナーや他の途上国・新興国を含む国々との協議を拡大することを期待する」としている。そしてG7サミットの共同声明では気候クラブについて「我々は、オープンで協力的な国際的気候クラブの目標を支持し、2022年末までに設立することを目指してパートナーと協力する」と述べられるに至ったのである。


筆者

松下和夫

松下和夫(まつした・かずお) 京都大学名誉教授、地球環境戦略研究機関シニアフェロー

環境省、OECD環境局、国連地球サミット上級計画官、京都大学大学院地球環境学堂教授(地球環境政策論)など歴任。現在国際アジア共同体学会理事長、日本GNH学会会長も兼ねる。専門は、環境政策、持続可能な発展論、気候変動政策など。著書に、「気候危機とコロナ禍」、「地球環境学への旅」、「環境政策学のすすめ」、「環境ガバナンス」など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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