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1.「ナノDDS」研究のグローバルセンターへ

出島に集まる好学者① 異分野へ「越境」する好奇心

片岡 一則 (公財) 川崎市産業振興財団副理事長、iCONMセンター長、東京大学名誉教授

超微小胞体に薬剤を搭載

 iCONMの研究の中心は「ナノDDS(Drug Delivery Systems)」である。

 生体に投与した薬剤は、何も操作を加えなければ全身に広がり希釈され、その多くは代謝され速やかに尿や胆汁に排泄(はいせつ)されて消失する。また、患部以外の組織に届いた薬剤は副作用の素ともなり得る。

 DDSは、特定の組織へ選択的に薬剤を送達する技術であり、iCONMでは、高分子ナノミセルという直径20~50ナノメートルの超微小胞体に薬剤を搭載することで、がんや脳、筋肉といった特定の組織に薬剤を送達し、その場所の環境に応じて薬剤を放出させる技術の研究を行っている。

 この高分子ナノミセルは、

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筆者

片岡 一則

片岡 一則(カタオカ・カズノリ) (公財) 川崎市産業振興財団副理事長、iCONMセンター長、東京大学名誉教授

東京大学大学院工学系研究科博士課程修了・工学博士。東京女子医科大学助教授、東京理科大学基礎工学部教授、東京大学大学院工学系研究科および医学系研究科教授(併任)を経て、2015年から(公財)川崎市産業振興財団ナノ医療イノベーションセンター(iCONM)センター長。翌年、東京大学を定年退職し同財団副理事長に就任。全米工学アカデミー会員。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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