山内正敏(やまうち・まさとし) 地球太陽系科学者、スウェーデン国立スペース物理研究所研究員
スウェーデン国立スペース物理研究所研究員。1983年京都大学理学部卒、アラスカ大学地球物理研究所に留学、博士号取得。地球や惑星のプラズマ・電磁気現象(測定と解析)が専門。2001年にギランバレー症候群を発病し1年間入院。03年から仕事に復帰、現在もリハビリを続けながら9割程度の勤務をこなしている。キルナ市在住。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
宇宙クラブ入りした韓国と、宇宙に戻ってきたトルコにお祝いを
韓国が自力による人工衛星「ヌリ」の打ち上げに成功した。いきなり大型衛星(LEOと呼ばれる高度500km以上に1.5トン)を搭載する能力のロケットで、まずはお祝いを申しあげたい。これはJAXA(宇宙航空研究開発機構)の前身の一つである宇宙科学研究所が開発した世界最大の固体ロケットの積載能力(LEOへ1.3トン)を超える。一方、トルコは月着陸に向けた開発と国際協力が本格開始して、宇宙コミュニティーに戻ってきた。こちらも喜ばしい。
まず韓国の自力による人工衛星打ち上げだが、日本や中国(共に1970年)から遅れること半世紀での達成となった。1トン以上の搭載能力を持つロケットの打ち上げに成功した年で比較しても30年の差がある。例えばJAXAのもう一つの前身である宇宙開発事業団は、完全国産の液体ロケットH2(積載能力はLEOへ10トン)を1994年に成功させている。同じ1994年にはインドもLEOに1.8トン運べるロケットの打ち上げに成功した。中国に至っては1972年打ち上げの風暴1号がLEOへ2.5トンの積載能力を持っていた(参考:軌道投入用ロケットリスト)。
経済力や技術力、海に囲まれた打ち上げ環境(1段目が地上に落ちずにすむ)を考えれば、韓国はあと10年は早く実現していてもおかしくなかった。実際、1993年には海外の打ち上げ場から小型ロケット類の打ち上げに成功している。なのに