北原秀治(きたはら・しゅうじ) 東京女子医科大学特任准教授(先端工学外科学)
東京女子医科大学大学院医学研究科修了。博士(医学)。ハーバード大学博士研究員を経て現職。専門は基礎医学(人体解剖学、腫瘍病理学)、医療経済学、医療・介護のデジタル化。日本政策学校、ハーバード松下村塾で政治を学び、「政治と科学こそ融合すべき」を信念に活動中。早稲田大学大学院経済学研究科在学中。日本科学振興協会(JAAS)代表理事。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
対話し協働する新しいコミュニティーが出発した
日本科学振興協会(Japanese Association for the Advancement of Science:JAAS)が設立され、第1回総会とキックオフイベントが6月18日から24日まで開かれた。科学に関わるあらゆる人々を対象に、科学の振興に関する事業を行い、人類の福祉向上および持続可能な社会の実現に寄与することを目的とする特定非営利活動法人だ(設立趣意書より)。
筆者は今年2月、このキックオフイベントの実行委員長に就任した。開催までの4カ月間、たくさんの方々にサポートされ叱咤激励を受けながら準備を進めてきた。そして6日間のイベント期間を通じて、産・官・学・民・メディアの様々な方々が集い、会の目標である「日本の科学を、もっと元気に」する方法をさぐり、参加者の皆様と対話することができた。
安心して寄り添える科学者コミュニティーの構築は、筆者が取り組んできた活動でもある。JAASの歩みを振り返る。
JAASが法人として設立したとほぼ同時に、キックオフイベントを開催することが2022年2月に決定した。NPO法人としての総会も合わせることになり、準備を急ピッチで進めなくてはならなくなった。
イベント開催はJAASの前身である「日本版AAAS設立準備委員会」の頃から動きはあった。AAASはアメリカ科学振興協会(American Association for the Advancement of Science)の略称である。世界最大級の学術団体として知られ、科学誌『サイエンス』の出版元としても有名なAAASに範を取り、JAASの動きはスタートした。
ただ、法人設立が先行し、メンバーの入れ替えなどもあり、イベントの準備は一向に進まなかった。前年度の実績などがない企画をゼロから作り上げるのは、容易ではない。予算を始め、参加人数の予測、会場決め、日程やプログラムを編成するなど、作業は膨大にある。しかもコロナ禍が重なっていることも考慮すると、どのような着地ができるのか全く予想がつかなかった。
論座ではこんな記事も人気です。もう読みましたか?